全米で食料品の即日配達サービスを運営するインスタカート( Instacart )の配達員と、アマゾンのニューヨーク州スタテン島の倉庫作業員らは3月30日、ストライキに突入する予定だ。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)が拡大する中、引き続き自宅外での勤務が要求されていることを受け、安全面の対応強化や金銭的補償を会社側に求めている。
ヴァイス(Vice)によると、インスタカートの配達員は注文ごとに危険手当として5ドルを上乗せすることに加え、石鹸や手指消毒剤、消毒用ウェットティッシュの無償提供、並びに持病があるため自宅に留まるよう勧告された作業員も含めた疾病手当の拡大を要求。会社側が同意するまで注文の引き受けを拒否し、要求が満たされるまでストライキを続ける意向だという。
アマゾンのスタテン島の物流センターの従業員は、従業員の感染が確認された後も引き続き営業している会社の決定に抗議し、3月30日にストライキに突入する見通し。従業員らはスタテン島の物流センターを閉鎖し、消毒が実施されるまで業務を再開しないと述べている。アマゾンは、検査で陽性反応が出た従業員が働いていた他の物流センターを閉鎖している。
労働者が不満を感じているのは、アマゾンやインスタカートに限ったことではない。多くのギグ・エコノミー(インターネットを活用した単発の仕事受注)企業は、新型コロナウイルス感染症に感染した場合や医師から自宅待機を指示された場合には、労働者に対して最長で2週間分の給与を支払うとしている。だが支払いを受けるには、検査で陽性であることの証明を会社側に提出する必要がある。検査キットが不足している米国では検査を受けることが難しいことから、ウーバーやリフト、ドアダッシュ(DoorDash)などのギグ・エコノミー企業の労働者は、手当を受け取ることはほぼ不可能だと述べている。
政府の外出自粛勧告を背景に、宅配サービス業界では需要が急増している。現在75万人以上を雇用しているアマゾンは、対応策として新たに10万人以上の労働者を採用し、インスタカートは現在の雇用者数の2倍以上にあたる30万人の買い物代行者を募集している。
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