ある学者グループは、100人の利他的な若者がボランティアで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンを接種し、故意に新型コロナウイルスに感染すればよいと言っている。
そんな「挑戦的な試み」は物議を醸しそうだが、インターネットに投稿された提案によれば、ワクチン研究を加速し、ワクチン接種が新型コロナウイルスに有効かどうかをすばやく証明することができるという。
「#COVID19により、経済や医療システム、あるいはその両方を犠牲にしなければならないというジレンマから抜け出すための新たなアイデアが必要です」。そうツイートしたのは、ハーバード大学の疫学者であるマーク・リプシッチ教授だ。リプシッチ教授はこの提案に、ラトガース大学の生命倫理学者であるニール・アイヤル教授、ロンドン・スクール・オブ・ハイジーン&トロピカル・メディシンの統計学者であるピーター・スミス教授と連署した。
一部の専門家は、感染病の終結にもっとも期待できるのはワクチンだと考えている。マサチューセッツ州ケンブリッジに本拠を置くモデルナ・セラピューティクス(Moderna Therapeutics)が製造した1つ目のワクチン候補は、最初の安全性試験でワシントン州の健康なボランティアにすでに接種されている。
しかし、鼻にウイルスを吹きかけられた者はまだ誰もいないし、ほとんどの場合、その方法は倫理的な疑問を伴う。提案者らも、この方法がもたらす明らかな不利益について認めている。「生のウイルス使って試験をすれば、ボランティアは重病を引き起こしたり、ひょっとしたら死に至る危険性もあります」。
しかし、提案者らは、社会にとってはそうした不利益発生のリスクを取る価値があると考えている。なぜなら、ワクチンを接種した人々に故意にウイルス感染させることは、ワクチンの効果を知るもっとも手っ取り早い方法かもしれないからだ。
人体へのウイルス投与試験に詳しい専門家の一人、メリーランド大学のマイロン・レビン教授は、まだこのアイデアは賞賛に値するとは思わないと述べた。米国疾病予防管理センター(CDC)が発表した統計によると、米国でCOVID-19に感染して入院した人の20%は2 …