新型コロナウィルスのパンデミックを受け、金融市場は大混乱に陥っている。だが、熱心なビットコイン支持者と少しでも話したことがあるなら、暗号通貨はまさにこうしたときのために生まれたのだと、何度も耳にしたことがあるのではないか? ビットコインを信じてやまない支持者は、デジタル資産は株のような伝統的な資産と「相関関係がない」ことから、我々が現在目の当たりにしている相場の崩壊に対する「安全な避難場所」になると主張する。
だが、狂信的な支持者の期待に反して、ビットコイン、すなわち暗号通貨市場全体は株式市場とともに下落した。3月19日には急上昇したものの、一時は前月比で約40%まで暴落。結局のところ、ビットコインは安全な避難場所ではなかったのだろうか? ビットコインは過去最大の試験に失敗したように見えるものの、一方でビットコインとは果たして何であり、何ではないのか。我々がまだそれを理解しようとしている途中にいることを思い出させる出来事だった。
ビットコインが何か特別のものなのかどうかも明らかではない。だが、ビットコインの創始者とされるいまだ正体不明の人物であるサトシ・ナカモトが、いくつかの手がかりを残している。ビットコインの概念を最初に紹介したナカモトのホワイトペーパーのタイトルには「ピア・ツー・ピア (P2P)電子マネー・システム」という言葉が言及されている。序論の中で、ナカモトは「信用できる第三者機関」に過度に依存している従来のインターネット商取引に代わるものが必要だと呼びかけた。
さらに、ナカモトによる謎のメッセージもある。「ジェネシス・ブロック(genesis block)」として知られる、ビットコイン・ブロックチェーンの最初の取引記録に残されたメッセージで、「 英国の財務大臣が2度目の銀行救済の瀬戸際に(2009年1月3日付タイムズ紙)」とある。ナカモトが、このメッセージの意味について説明したことは一度もない。それでも、これを読めば …