KADOKAWA Technology Review
×
【1/31東京開催】若手研究者のキャリアを語り合う無料イベント 参加者募集中
新型コロナ、抗体検査で正確な感染者数は明らかになるか?
USAF
生物工学/医療 無料会員限定
This blood test can tell us how widespread coronavirus really is

新型コロナ、抗体検査で正確な感染者数は明らかになるか?

米マウントサイナイ医科大学の研究チームが、新型コロナウイルスに対する抗体の有無を調べることで、同ウイルスに感染経験が分かる血液検査を開発した。感染者の正確な数を把握し、政府などが適切な対策を決めるうえで役立ちそうだ。 by Antonio Regalado2020.03.22

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染はどのくらい広がっているのか?無症状病原体保有者の数は?実際の死亡率は?

こうした重大な疑問に科学者たちは答えられない。しかし、ニューヨーク市にあるマウントサイナイ医科大学の研究チームが、まさにこの疑問の答えを提供してくれる検査を開発した。

3月18日に投稿されたプレプリント(査読前論文)によると、この検査は血液中の新型コロナウイルス抗体の有無を調べるものであり、最も広く使用されているタイプのHIV(ヒト免疫不全ウイルス)検査に似ている。

こうした検査では、免疫システムが検査対象とするウイルスに接触したことがあるかないかを調べるので、感染者数の正確な把握に役立つ。疾患モデル開発者と政府は、社会生活をどれくらい広範に制限する必要があるのかを正確に評価するために正確な感染者数を緊急に必要としている。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死者は3月17日時点で8700人を超えている。これは確認されている21万4000人の感染者の約4%にあたり、 驚くほど高い死亡率となっている。

しかし、新型コロナウイルスに実際に感染したすべての人を考慮した場合、致死率は間違いなく4%よりも低い。おそらく4%よりもはるかに低いだろう。このことを疫学者が断言できない理由は、一度も医療機関へ行かない、または症状が出てさえいない感染者が何人いるか分からないからだ。基本的に、モデル作成において死亡率を計算するための正確な分母は不明な状態だ。

このことは政策を決定する上で大きな問題だ。スタンフォード大学のジョン・ヨアニディス教授は3月17日、医科学メディア「スタット(STAT)」の記事で、実際の死亡率は季節性インフルエン …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【冬割】実施中! 年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. How a top Chinese AI model overcame US sanctions 米制裁で磨かれた中国AI「DeepSeek-R1」、逆説の革新
  2. OpenAI has created an AI model for longevity science オープンAI、「GPT-4b micro」で科学分野に参入へ
  3. 10 Breakthrough Technologies 2025 MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版
▼Promotion
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る