先週末にかけてマサチューセッツ州では、同州のチャーリー・ベーカー知事が「屋内退避」命令の準備をしているという噂が広がった。パニックに陥った市民は、州内の食品雑貨店やガソリンスタンド、コンビニエンスストアで、トイレットペーパーや洗浄用具、パスタ、ピーナツバターなどあらゆる物資を買い占めた。3月17日の聖パトリックの祝日のパレードやボストンマラソンなどのイベントは中止され、飲食店や人々が集う場所が閉鎖される中、ベーカー知事は「皆さん、正当なところから情報を入手してください。友達の友達の友達の友達から得てはいけません」と噂に対し返答した。
この噂はどこから出たのだろうか? 一般に知られたある陰謀論者のブログが、ソーシャルメディアで広まっていた。そして、おそらく住民にボストンマラソン爆弾テロ事件の記憶がよみがえり、危機的状況の中で何が起こりうるかを痛々しく思い出させたのだろう。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による大規模な閉鎖が広がる中で、ソーシャルメディアはこれまでになく重要な存在となっている。ソフトな隔離状態を強いられる中で、フェイスブックやツイッターなどのサービスは渇望される「息抜き」としての役割だけでなく、日々の生活の基盤として、家族や友人、同僚などを繋ぐ重要なパイプとしてのまったく新しい力を持ち始めている。人々が物理的にもっと隔離された状態になれば、タイムリーな地域の情報をますます求めるようになり、ソーシャルメディアとWebは世界の情報に対するニーズを満たす責を負うようになるだろう。
とはいえ、世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な流行)と戦いながら、インフォデミックとも戦わなければならないと頭を悩ませている。WHOはインフォデミックを、「正確な情報と不正確な情報が混在する情報過多の状態により、人々が必要な時に信頼できる情報源や頼りになるガイダンスを見つけにくくなること」と定義している。週末の記者会見でベーカー知事は、テレビや新聞は情報を入手する最も確かな方法だと聴衆に念を押し、ソーシャルメディアに依存しないよう警告した。
誤った情報の拡散を防止する慎重な戦略がなければ、多くのことが悪い方向に進むだろう。実際、そうなることがあ …