中央銀行のデジタル通貨はビットコインから何を学べるか?
中央銀行が発行するデジタル通貨をめぐる議論が活発になる中、セキュリティをどう確保すべきかが課題となっている。専門家はビットコインから学ぶことが多いという。 by Mike Orcutt2020.04.30
2019年の夏にフェイスブックがリブラ構想を発表した時、中央銀行の状況は一変した。大多数の反応は、自前のデジタル通貨を発行すべきかどうか、するとしたらどのように発行するのかを真剣に調査するというものだった。
だが、もっと根本的な変化が10年以上前から進んでいたことはほぼ間違いない。仲介者を使わずにデジタル資産の送金を初めて可能にしたビットコインは、従来の金融システムと真正面から競合するモデルだった。攻撃に対するビットコイン・ネットワークの回復力は、システム構築には別のやり方があることを示している。
マサチューセッツ工科大学(MIT)のキャンパスで3月に開かれたMITビットコイン・エキスポ。私は中央銀行業務や暗号通貨に詳しい専門家との座談会でモデレーターを務めた。中央銀行が自前のデジタル通貨システムの設計を始める時に考慮すべき実際的な懸念について話し合われた座談会で、専門家に共通したのは、中央銀行はビットコインから学ぶべきことが多い、という認識だった。
セキュリティは回復力によって実現できる
米国連邦準備制度は現時点で、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行を計画していない。ボストン連邦準備銀行で応用フィンテック研究を指揮するボブ・ベンチは、もしCBDCを発行するなら、必要条件トップ10のうち9つまでがセキュリティ関連になるだろうと述べた。「CBDCが稼働した瞬間から、世界でいちばん攻撃されるプログラムになるのは間違いありません」。
MITメディアラボ・デジタル通貨イニシアチブのロブレ・アリ科学研究員は、ビットコインは透明性、暗号、経済的インセンティブを組み合 …
- 人気の記事ランキング
-
- An ancient man’s remains were hacked apart and kept in a garage 切り刻まれた古代人、破壊的発掘から保存重視へと変わる考古学
- AI reasoning models can cheat to win chess games 最新AIモデル、勝つためなら手段選ばず チェス対局で明らかに
- This startup just hit a big milestone for green steel production グリーン鉄鋼、商業化へ前進 ボストン・メタルが1トンの製造に成功
- This artificial leaf makes hydrocarbons out of carbon dioxide 人工光合成が次段階へ、新型人工葉が炭化水素合成に成功