KADOKAWA Technology Review
×
【冬割】 年間購読料20%オフキャンペーン実施中!
新型コロナの流行は
機械学習で予測できるか?
CMUの研究グループが挑む
Carnegie Mellon University
生物工学/医療 Insider Online限定
This is how the CDC is trying to forecast coronavirus’s spread

新型コロナの流行は
機械学習で予測できるか?
CMUの研究グループが挑む

米国疾病予防管理センター(CDC)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行の予測を、毎年のインフルエンザの流行をほぼ正確に予測できる全米有数の研究室に要請した。その1つであるカーネギーメロン大学(CMU)の機械学習の研究グループは現在、困難な課題を解決すべく3つのアプローチで取り組んでいる。 by Karen Hao2020.03.16

米国疾病予防管理センター(CDC)は毎年、インフルエンザの流行予測を競い合うコンペを開催している。全米からさまざまな研究チームが参加し、独自の予測方法を使って競い合う。最優秀成績を収めたチームは研究資金を獲得し、CDCと協力して次のインフルエンザ・シーズンへ向けて米国の準備態勢を改善する。

CDCは現在、より多くの情報に基づいた意思決定をする取り組みの一環として、インフルエンザ流行予測の手法を使って新型コロナウイルスの感染拡大を予測するように数十の研究チームに要請している。要請を受けたチームの1つに、これまで5年間連続で最優秀レベルの結果を出してきたカーネギーメロン大学(CMU)の研究グループがある。昨年、CMUのこの研究グループは、インフルエンザ予測における「卓越した国家研究拠点(National Centers of Excellence)」の2つのうちの1つに指定され、コミュニティ全体の予測プロセスの設計を主導するよう要請された。

同グループの責任者であり、CMUの機械学習部門を率いるロニ・ローゼンフェルド教授は、当初、新型コロナウイルスの予測に乗り気ではなかったと認める。素人考えでは、2つの病気の予測はそれほど変わらないように思えるが、新型コロナウイルスのアウトブレイク予測の方がはるかに難しいという。ローゼンフェルド教授は、正しい予測が出せるかどうか、そして有意義な予測が出せるかどうかを心配したが、最終的には、とにかくまい進しようと考えるに至った。

「人々は、紙の上であろうと頭の中であろうと、予測モデルに基づいて行動します」と、ローゼンフェルド教授は言う。「直感に基づくのではなく、合理的な議論ができるように、予測モデルに基づいた推測を定量化した方がうまくいくでしょう」。

ローゼンフェルド教授らの研究チームは、インフルエンザ・シーズン中の症例数の増減を正確に特定するために3つの方法を使用している。1つ目の方法は、現在の感染者数を予測する「ナウキャスト」だ。CDCやその他のパートナー組織(インフルエンザ関連のグーグル検索、ツイッター投稿、CDCや各種医療サイト、ウィキペディアのWebトラフィックなど)から、最新データおよび過去データを集める。そして、これらのデータを機械学習アルゴリズムに送り込んでリアルタイムに予測する。

他の2つの方法は厳密な意味での「予測」、すなわち、将来の予測だ。1つは、機械学習を利用する方法、もう1つはクラウドソーシングした意見を利用する方法である。予測には、最大4週間先までの傾向予測に加えて、インフルエンザ・シーズンのピーク時期などの重要な節目や予想される最大症例数が含まれる。このような情報は、CDCと医療機関の両方が事前の備えとして対 …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【冬割】実施中! 年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 無料イベント「U35イノベーターと考える研究者のキャリア戦略」のご案内
  2. The 8 worst technology failures of 2024 MITTRが選ぶ、 2024年に「やらかした」 テクノロジー8選
▼Promotion 冬割 年間購読料20%off
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る