今年の民主党大統領候補としてトップを走っているバーニー・サンダース上院議員は、候補者の中で最も大胆な気候計画を掲げている。
だが、サンダース候補の包括的なビジョンや、一部の特定の技術的提案の実現可能性については、政治的、経済的な観点から疑問も浮かぶ。とりわけ、原子力発電や二酸化炭素を回収するテクノロジーを含めて、温室効果ガス排出を急激に削減するのに役立つ可能性のあるツールに対する規制が含まれていることが指摘される。
サンダース候補は16兆ドル以上を投入し、10年以内に米国の電力セクター、および地上の運輸機関からの温室効果ガス排出を完全になくすグリーン・ニューディール政策を掲げている。
これを実現させるためにサンダース候補は、政府が電力セクターに対してより大きな力を持つことを望んでいる。そのため、連邦機関を新設あるいは拡大して、約2兆5000億ドル規模の風力、太陽光、地熱発電、およびエネルギー貯蔵の設備の構築を指導する計画だ。
サンダース候補の計画は、連邦政府による助成金や石炭の山頂採掘、化石燃料の輸出入をはじめとして、化石燃料セクターに大きな変化を強いるものとなっている。同候補はさらに、連邦機関に対し、企業が気候変動に関する法律に違反していないか、企業が引き起こした環境破壊の責任を負っているのかを調査することを求めている。
それに加えて、2兆ドル以上を投じて、一般家庭や小規模ビジネスの家やオフィス、運営におけるエネルギー効率の改善を支援したい意向だ。より厳しい環境状態に耐えられるような橋や道路、水道施設、沿岸保護設備の改修および建造に1兆ドル以上を投資する計画も掲げている。
サンダース候補によると、この計画によって2000万人分の雇用が生まれ、電力セクターの改変によって職を失った労働者に各種支援や賃金保障、職業訓練などを提供できるという。サンダース候補のグリーン・ニューディール政策における広範囲にわたる目標には、気候やクリーンエネルギーに留まらず、適切な住宅支援や地方経済の発展強化、市民権、環境正義、労働者保護の強化も盛り込まれている。
サンダース候補は、自らが大統領に就任した暁には、即刻パリ環境協定に再合意し、世界の首脳たちと協力し、本来の目標であった気温上昇1.5℃防止への取り組みを再強化すると述べている(同候補の選挙陣営によると、現在の協定下では3℃の気温上昇が認められているという)。さらに、2000億ドルを投資して、発展途上国のクリーンエネルギ …