ダボス会議に集う世界の知識人たちに聞いた、2030年の世界予測
例年1月に開催される世界経済フォーラムの年次総会(いわゆるダボス会議)では、世界の知識人たちが地球の未来を話し合う。2020年に参加した9人に、2030年までに起きることを1つ教えてほしいと頼んだ。 by Gideon Lichfield2020.07.09
人工知能(AI)は生産性の急上昇をもたらす
エリック・ブリンジョルフソン
(MITデジタル・エコノミー・イニシアチブ代表/米国)
機械学習は過去10年間で飛躍的に進歩したが、2004年以降、米国の生産性の伸びは50%低下している。強力で新しく、汎用的なテクノロジーの導入では、まず生産性の伸びが低下し、その後、増加するのは珍しくない。時間がかかるのだ。蒸気機関により工業化が起こり、 電気により工場が改革されたように。 コンピューターは明らかに社会の多くの側面を変えたが、アマゾンが創業してから25年経った今でも電子商取引は小売業全体では小さな割合を占めるにとどまる。同様に、機械学習が経済全体に広まるにはしばらく時間がかかる。必要なのは、新しいスキルへの投資、それにサプライチェーンや顧客との関係、提供する製品とサービスの種類を根本的に考え直すことをいとわない企業だ。それが、生産性の上昇につながっていく。
アフリカは人間とロボットが共存する実験台になる
ワヌリ・カヒウ
(サイエンス・フィクション作家・映画監督/ケニア)
ケニアがデジタル決済テクノロジー導入の先駆けになったように、アフリカは人々が人工知能(AI)やロボットとどのようにやり取りするかを試す場になると思う。参入障壁は低く、AIに関係する法律や社会的慣習がほとんどないため、人間と機械の共存実験に関しては白紙の状態だ。ほぼ10年前にキンシャサでロボット交通警察官を設置したところ、住民は人間の警察官よりもよく従った。ロボットは汚職と関係ないからだ。アフリカがアフリカの問題に対処するための、ローカライズされたAIアプリケーションに多くの可能性がある。2050年までに4人に1人がアフリカ人になると予測されているからこそ、重要なのだ。
消費者はより多くの権限を持ち、より多くの保護を受ける
ヘレナ・ローラン
(国際消費者機構(Consumers International )事務局長/英国)
消費者は、データ・トラストや協同組合の一員となり、自身の権利を守り、データの使用方法について使用者と交渉し、監視方法について警告し、データを使用する組織を監査するようになるだろう。例えば、消費者は、持続可能な栽培慣行を保証する農家とデータ・トラストを接続したいと望むかもしれない。消費者はより良い価格で、自分が購入するものについてより多くの情報を得ることができ、農家は購入パターンに関するデータと裏付けを得て、生産物の差別化ができるようになる。この「農業データ・コモンズ(agricultural data comm …
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