中国、過去最高解像度の「月の裏側」写真を公開
中国当局は、2019年1月に人類史上初めて月の裏側に着陸した探査機「嫦娥4号」および探査車「玉兔2号」が撮影した写真を新たに一般公開した。今回のミッションで撮影された月の画像の中で最も解像度の高い画像であり、玉兔2号が撮影したパノラマ写真も含まれている。 by Neel V. Patel2020.01.24
中国は、月探査機「嫦娥(じょうが、Chang’e)4号」と月面探査車「玉兔(ぎょくと、Yutu)2号」が撮影した一連の新たな写真を公開した。新たな写真は、2週間ぶりに眠りから覚めた両機が撮影した月の裏側の地形の史上最も鮮明な画像を提供している。
今回発表された写真は、上記の探査機と探査車が撮影した最初の月の裏側の写真というわけではない。しかし、今回のミッションで撮影された月の画像の中でも最も解像度の高いものとなっており、玉兔2号が撮影したパノラマ写真も含まれている。中国は1月20日に、これらの新たな画像を一般公開した。
嫦娥4号は、2019年初頭に月のフォン・カルマン・クレーター(Von Kármán crater)に着陸し、人類史上初の月の裏側への宇宙船着陸で歴史を作った。同探査機は天文学的データおよび地質データを収集し、月面での植物栽培も試みた。最近では、探査車の玉兔2号が小さいクレーターの中にこぢんまりと存在する謎の「ゲル状」の物質を発見したが、その物質の正体やどうしてそこに存在するようになったのかは、いまだ不明だ。
この数日間、何人かの科学者や宇宙画像の専門家が、自身のスキルを駆使して、これらの新たな写真の処理と色付けをしていた。それらの多くの画像はネットに投稿されており、月の裏側のクレーターや月の表土の詳細な姿を示している。ウェスタンオンタリオ大学の惑星科学・探査センター(Center for Planetary Science and Exploration)で地図を製作しているフィリップ・ストゥーク准教授は、今回発表された新たな画像を用いて、同准教授が製作していた玉兔2号の現在進行中の旅を示す地図を改良している。
探査車と着陸機は、それぞれ1月18日と19日に、14回目の月の昼の期間に正式に入った。両機は太陽光発電式であり、寒くて暗い月の夜の間、電源を落として冬眠状態に入る必要がある。月の昼と夜は毎度およそ2週間ずつ続く。嫦娥4号と玉兔2号は当初、それぞれ3カ月および1年の寿命と予想されていたが、いずれもその予想を上回っている。
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- ニール・V・パテル [Neel V. Patel]米国版 宇宙担当記者
- MITテクノロジーレビューの宇宙担当記者。地球外で起こっているすべてのことを扱うニュースレター「ジ・エアロック(The Airlock)」の執筆も担当している。MITテクノロジーレビュー入社前は、フリーランスの科学技術ジャーナリストとして、ポピュラー・サイエンス(Popular Science)、デイリー・ビースト(The Daily Beast)、スレート(Slate)、ワイアード(Wired)、ヴァージ(the Verge)などに寄稿。独立前は、インバース(Inverse)の准編集者として、宇宙報道の強化をリードした。