人工知能で複雑なデータ管理プロジェクトに取り組んでいる企業にとって、エヌビディアの「ワンボックス型AIスーパーコンピューター」システムは待望の新製品だ。
エヌビディア のDGX-1は、機械学習ソフトウェアと同社で最高性能の画像処理装置(GPU)8個を備えるハードウェアとを組み合わせた製品だ。発売直後に購入した顧客によると、DGX-1を使えば分析モデルの訓練時間を短縮でき、より高度な実験により、科学や医療、金融サービス分野で、飛躍的進歩が実現する可能性があるという。
データ・サイエンティストがGPUで深層学習の訓練時間を短縮するようになったのは2012年からだ。深層学習は人間の脳がデータを処理する手法に非常によく似ているが、データ・サイエンティストの多くは現在のコンピューターで可能な範囲には限りがあるという。 DGX-1のような高性能なコンピューターを使えば、深層学習アルゴリズムを今よりパワーアップできるから、以前なら不可能だった深層学習モデルを使えるようになるわけだ。
DGX-1は、どの会社にも魔法の機械になるわけではない。販売価格は12万9000ドルもするから、ハードウェアだけなら部品を買って自分で組み立てた方が安い。しかもメモリー容量とGPUカードは変更できない仕様だ。しかし、中型のスーツケース程度の金属製の箱には、部品の他にプログラムが組み込まれており、先進的ハードウェアと組み合わせて高速ネットワークにも接続できる。エヌビディアによれば、DGX-1は従来のGPUシステムよりセットアップが早く済み、データ分析スピードが優れているという。さらに、DGX-1が発売直後数カ月で好意的な評価を得られたことは、類似のオールインワン型システムを導入すれば、企業や研究機関がAI研究をさらに進め、より早期に改良できる可能性が高まることを示している。現在DGX-1と同等の処理能力のあるシステムは市販されていないが、エヌビディアの製造協力会社が新製品を2017年初頭に販売予定だ。
今年の秋の販売開始後にDGX-1を導入した企業はまだ100社に満たない。しかし発売直後に導入した企業によれば、エヌビディアの言い分はもっともだ。ベネボレントAI(本社ロンドン)の生命科学 …