配車サービス会社のウーバー(Uber)は、自動運転タクシーの提供範囲をサンフランシスコにまで拡大する。
ウーバーは近日中にサンフランシスコでUberXを利用すると、自動運転車がやって来るのを目にするようになるだろうと発表した。サンフランシスコに投入されるのは、最新仕様の自動運転車ボルボ XC90s(レーザーによる画像検出・測距 システム(ライダー)と周囲環境を感知するカメラ7台を装備)だ。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、最初に市内を走るのは5台だけで、いずれ追加される。
自動運転車は、人間のドライバーを車から追い出し、タクシー業界を変えてしまうかもしれない。ウーバーがすでに約3カ月間実施しているピッツバーグでの試行と今回の発表は、どちらもウーバーが競合他社より先に自動運転車両を広く展開するための手段だ。MITからスピンオフしたニュートノミーも、小規模の自律型タクシーサービスをシンガポールとボストンで展開している。
ウーバーの自動運転タクシーは、完成とはいえない状態だ。MIT Technology Reviewのウィル・ナイト記者が実験車に乗った記事では「機械の運転はたとえば、路上に飛び出す歩行者にも対応するなど、見事だった」一方で「運転席にいる係員が制御する場面も何度かあった。トラックの後ろに付くように止めたり、別の自動車の急転回を避けるために介入したりしたのだ」という状態だった。
別の問題点もある。カリフォルニア州の自動車管理局によれば、ウーバーは12月8日時点で、州内で自律自動車の試験を実施する許可を得ていない。ウーバーは声明で「弊社がサンフランシスコで自動運転型のウーバーを立ち上げる試験の許可が必要かどうか、という点に議論があることは承知しています」と述べているが「問題を精査した」ところ、許可は不要だと判断した、という。カリフォルニア州も許可が不要だとしているのかは不明だ。
ウーバーには多くの自動運転のライバルが遠からず現れるだろう。昨日はグーグルが開発中の自動運転車テクノロジーが分社化され、今後はウェイモとして運営されると発表された。このニュースは自動運転が研究段階から事業化の段階に入ったことを意味する。関係者によれば、ウェイモは提携中のフィアット・クライスラーと、準自律型ミニバンのクライスラー・パシフィカを使って、早ければ2017年中には乗車シェアリングサービスを始める計画だ、とブルームバーグに答えた。
(関連記事:Uber, The Wall Street Journal, “無人タクシー実車へ 実証試験に自動車業界が注目,” “ウーバーの無人タクシー実験 試乗レポート,” “試験中の自動運転タクシーは しばらく試験中のままな理由”)