ビル・ゲイツ、10億ドル投資でクリーン・エネルギー実現
ビル・ゲイツのファンドは、気候変動に影響を及ぼさない電気や食料、運輸などを実現するスタートアップを育成しようとしている。 by Jamie Condliffe2016.12.13
ビル・ゲイツは画期的なクリーン・エネルギーの支援に10億ドルを投資すると発表した。
2015年、ビル・ゲイツが アマゾンのジェフ・ベゾスCEO、アリババのジャック・マーCEO、バージンのリチャード・ブランソン等20人以上の億万長者とブレークスルー・エネルギー連合 (Breakthrough Energy Coalition) を設立した当時は、新しいテクノロジーに20億ドルの投資を約束していた。
ブレークスルー・エネルギー・ベンチャーズファンドは、その第一弾の投資で、エネルギーに関するさまざまなアイデアに長期的に資金を提供するため設立された。通常のベンチャー・キャピタルにはリスクが大きすぎるスタートアップを支援する予定だ。ファンド立ち上げの声明で、億万長者投資家のひとり、ジョン・アーノルド(若くして引退したヘッジ・ファンド業界の大物)は「クリーン・エネルギー のテクノロジーに資金を提供するベンチャーファンドがないため、この産業は死の谷に陥る恐れがあります。新しく生まれたばかりのアイデアには、商用化にたどり着くまでの必要な資金がないのです」と述べた。
新ファンドは、このギャップに踏み込み、橋渡しする。今後20年に渡って投資する予定で、発電以外にも、運輸や農業、製造、建設向けの新テクノロジーも対象だ。将来の地球の気候に多大な貢献を約束するプロジェクトに対して、その応用のもとになる科学的裏付けが研究で証明され、スケールアップが可能であれば、資金を供給する計画だ。

ファンド期間の20年には根拠がある。ビル・ゲイツは2016年初めにMIT Technology Reviewのインタビューに答えて、二酸化炭素の排出量規制について「温暖化を2度で済ませたいなら、世界中の豊かな国は2050年までに排出量を実質0にしなければならないのです」 と述べた。そうなる前に、地球に大きな影響を与えるだけの大胆不敵な計画に対して資金を提供できることをゲイツと共同出資者は望んでいる。
簡単はない。同じインタビューでゲイツは、ファンドが直面する最大の問題は、投資に値する正しい仕事をする十分な数の企業を探し出すことだ、と認めた。「高額の小切手を書けば問題が解決するのが好都合ですが、今後が楽しみです。私たちが組成したファンドは、どのくらいすぐに投資できるでしょうか」。ビル、MITテクノロジーレビューも同じ意見だ。
(関連記事:Breakthrough Energy Ventures, Telegraph, “Q&A: Bill Gates”)
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