2016年11月の米大統領選でドナルド・トランプが予想外の勝利を収めたことは、政治のみならずテクノロジーにとっても1つの大きな転換点となった。社会におけるテクノロジーの役割に関する語り口は急速に変わり、巨大テック企業は民主主義を損なっているとして非難を浴びた。次の大統領選挙が迫っているが、この3年間にあまり大きな歩みがあったとは言い難い。
問題そのものがより明確になったことは確かだ。ロシアのインターネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)が大量の荒らしを使って選挙を操作しようとしたことがすでに明らかになっている(上院情報委員会も同様の結論に至っている)。 フェイスブックとツイッターはプロパガンダ用アカウントを厳しく取り締まっているし、フェイスブックは少なくとも今回、大統領選におけるデマ対策の具体的な計画を用意している。
だが、多くの問題は未解決のままだ。ロシアがボットを利用していたことは分かっているが、そのことで実際に人々の考え方が変わったのかどうかは明らかになっていない(実際のところ、フェイクニュースの害についてはさまざまなことが語られているが、複数の研究がテクノロジーを介した説得にはそれほど効果がない可能性を示している)。デマはいまだに世界中で増加を続けているようだ。セキュリティ・プロバイダーのクレアウドフレア(CloudFlare)はエイトチャン(8chan)を排除した 。エイトチャンは暴力的な過激派のたまり場として悪名高いサイトで、銃撃事件とのつながりが明らかになったことでクラウドフレアからサービスの提供を打ち切られた。だが、現在は「エイトクン(8kun)」として復活している。
言論の自由とプラットフォームのガバナンスに関するこうした巨大で厄介な問題が、すぐに解決するとは誰も期待していないだろう。だが2016年から現在までにさまざまな出来事があったにもかかわらず、実際に対策が形になり始めたのは2018年からだ。おまけに、その多くは熟考を重ねたものとは言えないようなものだった。
これに関しては、現在進行中の政治広告を巡る攻防以上に明白なものはない。大手テクノロジー・プラットフォームは対応の遅さの点ではどれも似たようなものだが、問題への対処の仕方はそれ …