進まぬ地球温暖化対策、
「失われた10年」
2010年代は地球温暖化にとって「失われた10年」となった。いったん頭打ちになったかに見えた二酸化炭素の排出量は、その後、急激に増加し、パリ協定の目標である気温上昇を1.5℃未満に食い止めるという夢はほぼ確実に砕かれている。 by MIT Technology Review Editors2019.12.27
私たちは、気候変動に関してまた10年を失った。
大気中の温室効果ガスが壊滅的な温暖化を確定するレベルにひた走っているにもかかわらず、世界はさらに排出を続けている。この10年間、排出削減を開始することに世界全体が失敗してきたことで、1.5℃の気温上昇を食い止めるという夢は、ほぼ確実に砕かれている。実際、2℃の上昇を防ぐためですら、今から必要な変化の速度と規模を実現できるとは想像し難い。
急速に拡大している危機の中でもとりわけ、この0.5℃の違いにより、世界のサンゴ礁が死滅し、世界人口の40%が驚異的な熱波に定期的にさらされるようになる可能性があることは肝に銘じておくべきだろう。
微かな前進の兆しはあった。再生可能エネルギーと電気自動車がついに軌道に乗り、2016年の歴史に残るパリ協定のもとで約200の国々が排出削減を引き受けた。
しかし、すでに自らの誓約から脱落している国々もある。米国は一層の大幅削減が求められる段階で、パリ協定から完全に脱退する手続きを進めている。そして、クリーンエネルギーの技術の勢いが増してきたにもかかわらず、排出量を毎年増やして大気を汚染している発電所や自動車、工場や建物を置き換えるために、今までほとんど何もしていない。
下のグラフは、気候変動に関し、この10年でどれだけ後退したかを明らかにしている。
高まる二酸化炭素濃度
気候変動にとって最終的に問題となる測定値は、地球規模での二酸化炭素排出量だ。そして、その値は上昇し続けている。
温室効果ガスによる汚染がついに頭打ちになったという束の間の望みがあった。化石燃料から発生する二酸化炭素は人間の活動に由来する二酸化炭素総排出量の約90%を占めるが、2013年から2016年にかけて比較的変化がなかったのだ。
エネルギー効率の改善、再生可能エネルギーの使用の高まり、石炭から天然ガスへの …
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