2年前、暗号通貨の世界はスリルに満ちていた。その後、バブルが弾け、ほとんどの人にとって、暗号通貨は一時的な熱狂として過ぎ去っていった。だが、真の信者たちは信じ続け、開発者たちは苦労し続け、テクノロジーは静かに成長し続けた。 そして2019年7月、フェイスブックの「リブラ(Libra)」が発表された。
少なくともリブラの「ビジョン」は現れた。リブラとは、フェイスブックが「グローバルな」デジタル通貨プロジェクトに与えた名前だ。
リブラは大きな反響を呼んだ。多くは世界中の中央銀行からの批判的な反応だった。リブラは中国のデジタル通貨開発の加速を促したとさえみられている。2020年へ向けて、暗号通貨が再び大々的に社会へ参入する態勢が整っているように見える。
ただし、今回はそれほどスリリングではない。実際、少なくとも多少の不快感を与える可能性がある。暗号通貨愛好家にとっては、腹が立つことさえあるかもしれない。
暗号通貨を無視することは、おそらくもうできないだろう
これまで、非常に奇妙で見当識のない暗号通貨シーンを無視できていたと思うなら、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)から一言伝えたいことがある。フェイスブックが作り出そうとしている暗号通貨リブラは、世界をより良い場所にするだろうというのだ。事実、ザッカーバーグCEOは10月に米国下院で、ビットコインのようなシステムに触発されたテクノロジーに基づくデジタル通貨は「金融包摂」を促進し、人々が「貧困から脱却する」のに役立つと語った。
ザッカーバーグCEOはさらに、米国がリブラの発行を許可しなければ、米国の世界的な影響力が損なわれるかもしれないと指摘した。 中国が「今後数か月で同様のアイデアを迅速に立ち上げるために動いています」とも述べ、「リブラは主にドルで支えられているので、米国の財政的リーダーシップだけでなく、民主的価値観と監視を世界中に拡大するものと信じています」と話した。
この発言については多くの説明が必要である。しかし、まずはフェイスブックがどのように広報・宣伝のスペシャリストとロビイスト陣の背後からリブラ計画を売り込むつもりなのかから始めよう。リブラは人道主義的であるだけでなく、米国の国益にかなうのだという。一体全体、どうしてそれが悪いことだと …