ハーバード大学医学大学院の遺伝学者であるジョージ・チャーチ教授は、12月8日に放送された米CBSのニュース番組「60ミニッツ(60 Minutes)」で、自身の研究室が開発中の遺伝子を使ったマッチングアプリについて、「遺伝性疾患を一掃できる」とさりげなく語った。
https://twitter.com/60Minutes/status/1204235674989289472
主要メディアとソーシャルメディアはすぐさまこれに反応したが、そのほとんどは否定的なものだった。聴覚障害者は憤慨し、トランスジェンダーの人たちは怒りをあらわにした。さらに一部の科学者が「優生学的だ!」と不快感を示した。
https://twitter.com/GidMK/status/1203887261915336704
怒りに満ちた記事はいずれもアプリの詳細に言及していなかったが、MITテクノロジーレビューは、チャーチ教授の研究室からスピンアウトした新しいDNAマッチングサービスを提供する企業に関する詳細情報を独占入手した。
ディジッド8(Digid8)と呼ばれるこのスタートアップ企業は、「ハーバードで教育を受けた科学技術者兼イノベーター兼教育者」を自称するバルガヴィ・ゴヴィンダラジャンによって2019年9月に設立された。チャーチ教授によると、ゴヴィンダラジャンは同社の共同創業者だという。
ディジッド8 は、「デート」のネットスラングである「D8」から名前を取っており、チャーチ教授いわく「全ゲノム・デーティング(交際)」を追求する企業だ。
そのアイデアは、DNA比較を活用して、テイ・サックス病や嚢胞性線維症を引き起こす遺伝子変異を有する者同士が、出会い、恋に落ち、子を授かることが起こらないようにしようというものだ。
https://twitter.com/BraveBosom/status/1204102674754334720
劣勢遺伝は何千とあるが、そうしたものの中から、両親のそれぞれから1つずつ、合わせて2つのリスク遺伝子を受け継ぐと、子どもはその遺伝子に起因する疾患を発症する。発症確率は通常およそ25%である。
挑発的なプロジェクトの魅力に惹きつけられている研究室を運営するチャーチ教授は、ディジッド8が「GPSのように」既存マッチングサイトのバックグラウンドで動く遺伝子アプリを開発しており、アプリのサービスを通じて同じリスク遺伝子を持つ人々の出会いを防ぐと話す。
ゲノム・シーケンシングには現在でもおよそ750ドルの費用がかかるが、費用は下落傾向にある。月額50ドルの出会い系サイトの会費に費用は組み込めるとチャーチ教授は考えている。
https://twitter.com/NyleDiMarco/status/1204057641699274752
チャーチ教授は複数の投資家とともに、自らもこのスタートアップ企業に資金を提供していると述べたが、投資家の名前は明らかにしなかった。 …