東大、熱を一方向のみに伝えるナノチューブ新素材を開発
東京大学の研究者らがカーボンナノチューブを用いて、ある方向に沿っては熱を伝えるが、その垂直方向にはほとんど熱を伝えない新素材を作り出すことに成功した。コンピューターなどのデバイスの冷却システムを設計・構築する方法に影響を与えそうだ。 by Emerging Technology from the arXiv2020.01.23
電気技術者にとって熱は厄介な存在だ。電子デバイスの信頼性を下げ、完全な誤作動を引き起こすことさえある。だからこそ、コンピューターの部品には放熱グリスが塗りたくられ、放熱管、ファン、さらには水冷システムまでが取り付けられているのだ。
目標は、繊細な部品から熱を集め、環境中に逃がせるようにすることだ。だが、デバイスが小さくなるほどこの課題を解決するのは難しくなる。たとえば、最新のトランジスターはナノメートル単位の大きさしかない。
コストパフォーマンスが最も高い熱伝導体は銅などの金属だ。しかし、熱は金属の中を全ての方向に素早く移動する。つまり、同じ金属と熱的に接触している他の部品にも熱が広がってしまう。
熱をある方向に伝えつつ、それと直交する方向には熱を通さない熱伝導体があれば、より効率的な放熱が可能となるはずだ。この場合、熱はそうした素材に沿って伝わり、横切る方向には伝わらない。
このような非対称性の伝導体があれば、熱設計エンジニアの仕事はずいぶん楽になるはずだ。しかし、そうした素材を作るのは難しい。
東京大学の博士課程に在学中の山口信義と共同研究者たちは、注意深く並べたカーボンナノチューブを使って、まさに前に述べたような形で熱を伝える素材を作り出すことに成功した。この新素材は、熱設計エンジニアがコンピューターなどのデバイスの冷却システムを設計・構築する方法に革命を起こす可能性を秘めている。
まずは基礎的な知識を少し説明しよう。カーボンナノチューブが並外れた性能を持つ伝導体であるということは、材料科学分野の研究者たちの間では有名だ。この微小な管の熱伝導率は、1000 W m-1K-1(ワット毎メートル毎ケルビン)を超える。比較のために挙げると、銅の熱伝導率は約400 W m-1 K-1だ。
だが、材料科学者たちがナノチューブの集合体を作ろうとすると問題が生じる。プラスチックの土台にカーボンナノチューブを乗せ …
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