KADOKAWA Technology Review
×
【3/14東京開催】若手研究者のキャリアを語り合う無料イベント 参加者募集中
微小重力環境で
火はどう燃えるのか?
ISSで着火実験へ
NASA
宇宙 Insider Online限定
Astronauts will soon get to light a fire onboard the ISS

微小重力環境で
火はどう燃えるのか?
ISSで着火実験へ

国際宇宙ステーション(ISS)では、おびただしい数の風変わりな実験が実施されており、ここ数週間以内には、微小重力環境下で火がどのように燃えるかを調べる実験が予定されている。宇宙船内で火災が発生した際の燃え広がり方を予測することのほか、地球上で火災の拡大を防ぐために建物をどう設計すべきかの洞察が得ることが目的だ。 by Neel V. Patel2019.12.10

火で遊ぶことは通常、決しておすすめできることではない。まして地球の約400キロメートル上空の宇宙船内となればなおのことだ。しかし、ISS(国際宇宙ステーション)に搭乗する宇宙飛行士たちは数週間以内に、小型の風洞内で火をつける任務を命じられることになっている。微小重力環境下で火がどのように振る舞い、広がるかを理解するためだ。

地球上では、重力が冷たくて濃い空気を押し下げることで燃焼を助け、対流プロセスを作り出し、燃え上がる炎に新しい酸素を供給する。ただし、重力を計算から外すと、火の振る舞いははるかに予測不可能となる。ISSや他の宇宙船で実際に火災が発生した場合に、閉じ込められ加圧された空間でどのように火が広がるのかを理解する必要がある。

宇宙飛行士が宇宙船内で意図的に火をつけるのは、この実験が初めてのことではない。2008年に米国航空宇宙局(NASA)は、グローブボックスサイズの「燃焼統合ラック(Combustion Integrated Rack)」をISSに送り、微小重力環境下で小さな火を燃やすテストをした。2016年から2017年に実施した「サファイア(SAFFIRE)」と呼ばれる3つのテストでは、無人の「シグナス(Cygnus)」宇宙船に意図的に着火した。同宇宙船はISSへの補給任務をすでに完了し、どのみち地球の大気中で燃焼される予定だった。これらの実験では、微小重力環境下でも安定した炎を得ることは可能で …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. One option for electric vehicle fires? Let them burn. EV電池火災、どう対応?「燃え尽きるまで待つしかない」と専門家
  2. Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 好評につき第2弾!研究者のキャリアを考える無料イベント【3/14】
  3. OpenAI just released GPT-4.5 and says it is its biggest and best chat model yet 限界説に挑むオープンAI、最後の非推論モデル「GPT-4.5」 
  4. One option for electric vehicle fires? Let them burn. EV電池火災、どう対応?「燃え尽きるまで待つしかない」と専門家
▼Promotion
U35イノベーターと考える 研究者のキャリア戦略 vol.2
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る