壁に耳あり。高度約9kmでも。
インターセプトとフランスの新聞ル・モンドによる調査により、英国と米国の諜報機関は、2005年以降のフライトで搭乗中の乗客の携帯電話を追跡するために人工衛星システムを使っていたことが明らかになった。
現在は多くの航空会社がフライト中の通話とデータ通信サービスを提供している。しかし、航空機のモバイル接続を可能にするGSMシステムが機体に装備されたのは2000年代半ばだ。
当時、厳密には機内での通話は乗客に許されていなかったが、フライト中の携帯電話の使用が飛行機の航行や管制にいわれるほど影響はないと気付く人が増えていった。携帯電話の電波が届き、料金が妥当なら、電話をかけない理由はない。
諜報機関もこのことは知っていた。英国の情報機関である政府通信本部(GCHQ)と米国国家情報局(NSA)は、上空で電話をかける人にも関心を向けるようになった。報道各社に伝えたNSAの文書によれば、2009年2月までに、フライト中に携帯電話を使った10万人のデータを記録していたという。
GCHQとNSAは、航空機と人工衛星間で交わされる電波を地上の設備で傍受していたようだ。インターセプトは「純然たる事実として、携帯電話の電源が入っているだけで位置情報は漏れる」と前置きしている。しかし諜報機関は、ユーザーによる通話やテキストメッセージ、データ送信の中味まで詳細な記録が取れるのだ。
どの航空会社でも携帯で接続できるようなった現在、機内での通話の監視は恒常化している可能性が高い。実際、NSAの記録には近年の通話のタイムスタンプや日付が残っている。次回、上空で電話をかけたくなったら、代わりに映画でも見ておくべきかもしれない。
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