電磁波の中で最もエネルギーが大きい領域に当たるガンマ線が、狭い領域から短時間で大量に放出される現象である「ガンマ線バースト」は、我々の知るところでは宇宙で最も強力な爆発だ。巨大な星がブラックホール、または中性子星に重力崩壊した時に発生すると考えられている。
科学者たちは最近、かつて想像もしなかったほど強力なガンマ線バーストを発見した。ネイチャー(Nature)誌に発表された3本の新しい論文では 、2つの天文学者チームが、可視光よりも1000億倍以上強力なエネルギー測定値を放出するガンマ線バーストを2つ、検出したことを報告している。実際、そのうちの1つは1兆倍も強力だった。前例のない2つの発見は、このようなエキゾチックなイベントをより多く見つけ、何十億年も前に宇宙の彼方で何が起こっていたのか、より明らかにするのに役立つだろう。
「ガンマ線バーストは、私たちがこれまで知っている何よりも強力です」と、マックスプランク研究所の天体物理学者であり、2つの論文の共著者であるラズミク・ミルゾヤン博士は言う。「それはまさに驚くべきことです」。
これらのガンマ線バーストは2カ所の観測所で検出された。カナリア諸島にある2つの望遠鏡を使用する「マジック(MAGIC:Major Atmospheric Gamma Imaging Cherenkov)ガンマ線望遠鏡」システムと、ナミビアの5つの望遠鏡アレイである「高エネルギー立体視システム(HESS:High Energy Stereoscopic System)」だ。いずれも、解像型大気チェレンコフ望遠鏡(IACTs:Imaging Atmospheric Cherenkov Telescopes …