少し前、デラウェア州の遺伝学者が遺伝学者としての仕事をし、患者の診断を診断未確定の病気だと結論づけようとしていた。
デラウェア州ウィリミントンにあるA.I.デュポン子ども病院の医療遺伝子学部門の責任者であるカレン・グリップ医師は、患者の女児が広い額、濃い眉、長い人中(鼻と唇の間)をしていることに気がついた。女児は発作を経験しており、また硬く縮れた髪だったが、女児はアフリカ系アメリカ人であり、民族性のため特に注目に値するようには思われなかった。グリップ医師が女児を診察した時には口蓋破裂症と脊髄くも膜嚢胞はすでに治療されていた。
女児の症状は、グリップ医師が検討したどの症例ともぴったりとは一致しなかった。
多くの遺伝子条件には「顔」があり、独特な特徴の集合は、可能性がある診断の手がかりになる。しかし、特徴を観察することで病気を特定する異常形態学と呼ばれる実践は、遺伝学者の大きな課題だ。異常形態学で最も高い技術を持つのは、長い経験を経てきた年配の医者なのは当然だろう。人生を通して患者を診れば診るほど、より多くの特徴を観察することになる。しかし、最も経験を積んだ医療従事者でさえ、存在する全ての病気を診てきたわけではない。
調査の一環でグリップ医師は女児の写真を撮り、珍しい病気を診断する手助けとなる「Face2Gene」という顔認識ソフトウェアツールにアップロードする許可を求めた。Face2Geneは患者の顔を病気の人の合成写真と比較し、可能性がある診断を最も確かなものからそうでないものまでリストアップする仕組みだ。
テクノロジーの診断結果にグリップ医師はハッとなった。この女児の場合Face2Geneによる提案のトップはハジュ・チーニー症候群(骨粗しょう症を起こす先天性の病気)だったが、この子どものたんぱく質をコードする遺伝子のエクソーム分析によって、側方髄膜脊髄瘤に関係する突然変異があることが明らかになったのだ。側 …