米陸軍「軍用ロボット犬」開発プロジェクト、10年間の研究成果を披露
米国陸軍研究所(ARL)は、人間の兵士と協力して戦場で動作するロボットの開発を目指す10年間のプロジェクトの成果を披露するイベントを開催した。これらのロボットは、深層学習や知識ベースなどを組み合わせたハイブリッド・アプローチを駆使して命令の内容を理解し、最小限の監督でタスクを実行できる。 by David Hambling2019.11.12
これまでの軍用ロボットはかなり低知能であった。たとえば米陸軍が検査や爆弾処理に使用する「パックボット(PackBot)」は、実際的に人工知能(AI)は搭載しておらず、リモコンで操縦されている。陸軍がこれまでずっと待ち望んでいたのは、常に監督していなくても、命令に従うことができる知能を持ったロボットのチームメイトだ。
現在、そうしたロボットの実現に一歩近づいている。米国陸軍研究所(ARL:Army Research Laboratory)は、言葉による指示をロボットが理解し、タスクを実行して報告できるようにするソフトウェアを開発した。このソフトウェアは、とてつもない利益が期待される。命令を理解でき、ある程度のマシン・インテリジェンスを備えたロボットは、いつの日か軍隊に先立って即席爆発装置(IED)や待ち伏せを探知できるようになるだろう。現場に必要とされる兵士の人数も減らせるかもしれない。
「自動運転車ですら、人間からの指示に従って複雑な任務を遂行できるほど十分な理解能力を持っていません」。ARLのプロジェクトを担うチームの一員であるマサチューセッツ工科大学(MIT)のニコラス・ロイ教授は言う。「しかし、私たちのロボットはまさにそれができるのです」。
ロイ教授は、ARLが主導する10年プロジェクトである「ロボット工学共同テクノロジー連合(Robotics Collaborative Technology Alliance)」の一員としてこの問題に取り組んできた。プロジェクトにはMITとカーネギーメロン大学の研究者のほか、米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所(JPL:Jet Propulsion Laboratory)などの政府機関やボストン・ダイナミクス(Boston Dynamics)などのロボット工学企業が名を連ねる。同プロジェクトは2019年10月に終了し、成果を披露する一連のイベントが開催されたばかりだ。イベントでは数々のロボットの性能試験が実施され、操縦スキル、障害物を乗り越える機動性、言葉による指示に従う能力などが披露された。
こうしたロボットたちは、軍用犬には及ばないとしても、より効果的に人間に協力できると考えられている。「犬は、人間とチームを組むという点で、私たちが目指しているものの完璧な例です」とプロジェクト・リーダーのスチュアート・ヤング博士は話す。この軍用犬のようなロボットは言葉による指示を受け、身振り手振りを解釈できる。そのうえ、タブレットを介してのコ …
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