1年前、米国航空宇宙局(NASA)の無人宇宙探査機「ボイジャー2号」は、太陽系を離脱して正式に恒星間空間に入った歴史上2番目の人工物となった。ボイジャー2号は1977年8月20日、双子の探査機「ボイジャー1号」打ち上げの16日前に打ち上げられた。ボイジャー1号は2012年に太陽系の北半球から外に出ている。より長い旅に送り出されたボイジャー2号は、天王星や海王星との遭遇にも成功し、この2つの惑星を間近に訪れた唯一の宇宙船となった。その後、太陽圏(太陽系の最も外側の領域で、「バブル」と呼ばれることもある)の南半球を恒星間空間へと向かって真っ直ぐに進んだ。
2018年11月5日、ボイジャー2号は「ヘリオポーズ」と呼ばれる、太陽圏の終わりと恒星間空間の始まりを示す境界面を通過し、正式に太陽圏の外に出た。太陽から119天文単位(AU)の距離での出来事である(1AUは1億5000万キロメートルで、太陽と地球の間とほぼ同じ距離に相当する)。
ボイジャー2号は、太陽風の構造、プラズマ粒子の組成や挙動、宇宙線の相互作用、磁場の構造や方向など、太陽系の端を定義する特性を各種分析することに成功した。2019年11月4日に、ボイジャー2号が太陽系を離脱するまでに観測した結果を詳細に記した一群の論文が、ネイチャー・アストロノミー(Nature Astronomy)誌に発表された。ここではそれらの論文の重要なポイントを5つ紹介する。
1. 太陽圏は両方に漏出している
ボイジャー2号の太陽圏からの離脱では、いくつかの発見があった。データによると、太陽圏は「非常に漏出しやすい」状態にあったと、この一群の最新論文の1つで筆頭著者を務めたジョンズ・ホプキンス大学のスタマティオス・クリミギス博士は述べる。恒星間空間で太陽圏由来の物質が発見されたのだ。
実はボイジャー1号も、太陽圏が漏出しやすいことの兆候を発見している。だが1号が発見したのは、太陽圏に流れ込んだ恒星間物質であり、ボイジャー2号の発見とは逆であったと別の論文の筆頭著者であるカリフォルニア工科大学のエドワード・ストーン教授は述べる。これらの新発見により、まったく異なる2つの部分で発見されたヘリオポーズの漏出は、太陽圏の特性として珍しいものではないことが確認された。ただし、漏出の原因が何であるかについてのもっともらしい説明はまだない。
2. 太陽圏の境界は予想されていたより均一である
ボイジャー・ミッションの前、科学者たちは、太陽から遠ざかるにつれて太陽圏は恒星間空間に溶け込んでいくのだろうと予測 …