今年1月、アルファベット(グーグル)の人工知能(AI)専門子会社であるディープマインド(DeepMind)は、汎用人工知能開発へ向けた偉業を達成したと発表した。同社が設計したAIシステム「アルファスター(AlphaStar)」が、宇宙戦争をテーマにした人気ゲーム「スタークラフト(StarCraft)2」のプロプレイヤー2人に勝利したのだ。これはかなりの大手柄だった。スタークラフト2は非常に複雑なゲームで、1つの動きを決める際の選択肢の数は1026に上る。また、スタークラフト2は不完全情報ゲームでもあり、勝利のための決定的な戦略が存在しない。この業績により、マシン・インテリジェンスは新たなレベルに到達した。
ディープマインドは現在、その業績を更新しようとしている。アルファスターはいまやスタークラフトのアクティブ・プレイヤーの大半を上回る成績を収めており、以前の試みに比べて、ゲーム中におけるはるかに安定した、再現性のある戦略策定能力を実証している。10月30日付けでネイチャー誌に掲載された実験結果は、機械翻訳からデジタル・アシスタント、さらには軍事計画までおよぶ、さまざま用途への適用可能性を示す重要な意味を持つ可能性がある。
スタークラフト2はリアルタイム戦略ゲームで、主に1対1で対戦する。プレイヤーは人間あるいはエイリアンの3つの種族、プロトス、テラン、ザーグから1つを選び、資源収集、インフラと兵器の構築、対戦相手への攻撃を交互に選択しながら勝利を目指す。各種族はそれぞれ異なるスキルや制約条件を持っており、それらの特性が勝利につながる戦略に影響する。そのため …