KADOKAWA Technology Review
×
【3/14東京開催】若手研究者のキャリアを語り合う無料イベント 参加者募集中
最高性能のソナーをしのぐ、「軍用イルカ」の知られざる歴史
courtesy photo
生物工学/医療 無料会員限定
A brief history of the US Navy’s dolphins

最高性能のソナーをしのぐ、「軍用イルカ」の知られざる歴史

米海軍が50年以上に開始した海洋哺乳類プログラムでは、イルカの並外れた反響定位能力を利用して、海中の危険物を除去する活動をしている。イルカが効率よく、正確に機雷を発見する能力は、世界最高性能のソナーシステムをはるかにに凌駕しており、イラク戦争における機雷除去でも大きな成果をあげた。 by Haley Cohen Gilliland2019.11.01

米カリフォルニア州のサンディエゴ湾が太平洋とつながる付近に、ロマ岬海軍基地がある。いくつかの白い四角いビルが高台に立ち並ぶこの複合施設には、巨大な軍艦だけでなく、数十頭のイルカやアシカ、その他の海洋生物が収容されている。

これらの海洋動物は、米海軍海洋哺乳類プログラムに所属する。同プログラムは、イルカがメッセージを伝えたり、水中の脅威を識別したりするのに熟達していることを科学者が発見した後、1959年に始まった。 ベトナム戦争中は、ガース、ジョン、スラン、ティンカー、トードと名付けられた海軍イルカが、ベトナム南東部の深湾であるカムラン湾に配備され、敵がカムラン湾に設置された米軍の主要な武器補給用桟橋に泳いで近づいて攻撃するのを阻止した。

イルカは天敵を避け、食物を見つけるために、並外れた反響定位(エコーロケーション)能力を進化させた。イルカは水中環境を評価しながら、広い周波数成分を持つバースト・パルス音を発する。このパルス音は人間にはクリック音のように聞こえる。このクリック音の反響を聞いて、イルカは178メートル先の直径8センチメートルのボール、大まかに言えば、サッカー場2つ分離れた場所にあるテニスボールを検出し、15メートル先にあるBB弾とトウモロコシの粒を区別できる。耳障りな音の多い港内 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. One option for electric vehicle fires? Let them burn. EV電池火災、どう対応?「燃え尽きるまで待つしかない」と専門家
  2. Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 好評につき第2弾!研究者のキャリアを考える無料イベント【3/14】
  3. One option for electric vehicle fires? Let them burn. EV電池火災、どう対応?「燃え尽きるまで待つしかない」と専門家
▼Promotion
U35イノベーターと考える 研究者のキャリア戦略 vol.2
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る