国民感情を計測する手段として、ツイッターは役に立つだろうか?
EU離脱と米国大統領選挙を研究するグループは、正しい指標を見ていた人にとって、最近の選挙の多くで予想外の結果が出たことに驚きはないという。
ライト・レリバンス(ソーシャルメディア等の影響力に着目する調査プラットフォームの販売会社)のビシャル・ミシャラ最高経営責任者(CEO)は「私たちの分析が示していたことと、私たちが信じていたことには差異がありました。私たちは『トランプ候補がどうやって勝つのか?』と思いました。しかし私たちの分析はトランプ候補の勝利を示し続けました」という。
米国の大統領選でも、ライト・レリバンスは驚くべき結果の可能性を指摘していた。
指標の中でもライト・レリバンスが特に注目したのは、ボットを除去したあとの、候補者それぞれに関連するツイッター上の支持者数だ。同様に、リツイートやメンション、返答、ユーザー同士のつながりの質、ユーザーが別のコミュニティーの橋渡しをするかどうか、といった指標で測定されるフォロワーの影響力も重要だ。
EU離脱投票でも大統領選でも、こうした指標は、最終的に勝利する側に、投票前に状況はよくなりそうであることと示していたと、ミシャラCEOはいう。
マサチューセッツ工科大学(MIT)のデブ・ロイ教授(ツイッターのチーフ・メディア・サイエンティストとして大統領選を詳細に追跡してきた)は、ツイッターの指標にトランプ勝利の兆候があったことは同意するが、「明確な兆候」とはまだ認めないでいる。
ロイ教授はMIT Technology Reviewの取材に答えた電子メールで「ソーシャルメディアネットワークや主要メディア、周辺的なメディア接触から成るメディア・ダイナミクスの観点から『私たちは、この1年で新しい領域に入りました』」と述べた。 ロイ教授はまた、これらの出来事には「ツイッターが示す兆候を明確に解釈できるとは主張できない『特有の要素』がある」という。
問題は、主要なメディアがツイートする内容と他のメディアのツイート内容には長期的な相違があることだ。11月初めに、ライト・レリバンスの分析で、反クリントンの高まりとともに、最も議論され共有されたツイッターのトレンド・キーワードとして「FBI」や「ポデスタ(クリントン政権の大統領首席補佐官) 電子メール」、「コメイ(FBI長官)」が増えたのだ。
こうしたキーワードは、大手メディアのツイッターアカウントや影響力のあるユーザーではあまり使われていない。(つまり、ツイッターにはトランプ勝利の兆候があったが、ツイッターで影響力があるはずのユーザーが世論を形成した、とは断定しにくい。ミシャラCEOが戸惑い、ロイ教授が断定を避けるのは従来の概念とはまったく別の形をした「ツイッターの影響力」があるかもしれないからだ。)