KADOKAWA Technology Review
×
This Robot Crosses Rough Ground Like a Human

人型ロボットが、足場を確認して歩行できるようになった

ボストン・ダイナミクスのロボットが、足下の状態を調べて、体をどう動かせば転ばずに歩けるかを計算できるようになった。 by Jamie Condliffe2016.12.05

転倒は、人型ロボットの得意技だ。しかし、ボストン・ダイナミクスの新手法により、人型ロボットは以前よりずっと上手にデコボコの地面を一歩一歩慎重に歩けるようになった。

テッククランチがYouTubeで見つけた動画内で、ボストン・ダイナミクス製のロボット「アトラス」が、建材ブロックで平坦とはいえない道を歩いて渡れるようにした新しい制御アルゴリズムのデモをフロリダ州立大学機構に所属するIHMC(Institute for Human and Machine Cognition)のロボット工学研究所(フロリダ州ペンサコーラ)の研究者が公開した。進路の地面の状態を探ろうとして足を動かし、またぎ、胴体と腕を振って体勢を立て直す様子は、不気味なほどに人間的だ。

実際、ロボットは足下を探り、体全体でバランスを取るようにプログラムされているのだ。新手法の働きを説明する論文によれば「このロボットは新しく触れる地面を、足の周りに重心をずらすことで探る。利用可能な足場がどこにあるかは、探査の際(略)足が触れる角に沿って足首を動かすことで推測する」」と研究者は説明する。

ロボットは、一歩進むごとにどう足を固定すれば転ばずに済むかを判断し、前進しながらバランスを維持し、よろめいても体勢を立て直すために上体の角運動(腕の振りも含む)を使う。実験では、ロボットは建材ブロックの辺や角で体を支え、平坦ではない地面を歩いている。

研究者は、この成果は「脚型ロボットを実世界で活用させる場合の重要なステップだ」としている。もちろん、人間と同様、この方法で常に転ばずに済むわけではない。そこで研究者は、ロボットが受け身を取りながら倒れる方法の研究を始めている。安全に転べるようになれば、ロボットの回路の基板が割れなくなるだろう。

(関連記事:arXiv, “Meet Atlas, the Robot Designed to Save the Day,” “An Algorithm Helps Robots Fall Safely”)

人気の記事ランキング
  1. What’s on the table at this year’s UN climate conference トランプ再選ショック、開幕したCOP29の議論の行方は?
タグ
クレジット Video by Institute for Human and Machine Cognition Robotics Lab
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る