冷蔵庫は使えないが電灯とテレビが使える家庭がアフリカで急増中
月賦払いの太陽光発電システム誕生によりアフリカ大陸の電気が通ってなかった地域の家庭に明かりが灯り始めた。しかし、送電網に打ち勝つためにはさらなるパンチ力が必要となる。 by Jonathan W. Rosen2016.12.05
サハラ砂漠以南のアフリカ(サブサハラ)の非都市部住民にとって、日没とは世界が暗闇に包まれることだ。
しかし近年、未電化地域の住民が代替手段である「オフグリッド」(独立型太陽光発電、送電網と接続していない電力)によって、屋上の太陽光パネルとバッテリーをつなぎ、家庭で消費する電力をまかなえるようになり、アフリカの電力問題は解決する兆しがある。
太陽光発電は従来からあるテクノロジーだが、サブサハラ地帯で人気が高まっているのは、太陽光パネルのコストが急激に下がり、発光ダイオード(LED)照明や電化製品の省エネ性能が上昇したからだ。アフリカでは、すでに何十社もの企業が後払い(pay-as-you-go)で太陽光パネルを取り扱っている。
普及推進派は、他の方法で電力を普及させるより後払い式の家庭用太陽光発電はメリットが相当大きいという。太陽光発電システムは素早く設置でき、灯油ランプ(未電化のサブサハラ地域の3分の2でいまでもよく使われている)と違って嫌な匂いが部屋にこもらない。太陽光発電なら滅多に停電しないが、送電網から電気を得ている家庭では停電が頻繁にあり、そのたびに一騒動だ。
経済的なメリットもある。ケニアで国営電力会社を利用するには、最初に1万5000ケニア・シリング(150ドル)。年額ではさらに10倍のコストが契約ごとにかかり、毎月電気代を払わなければならない。一方で独立型太陽光発電なら、初期投資を払い終われば月額料金は払わずに済む。
エム・コパ(M-Kopa)はサブサハラの業界最大手で、2011年の販売開始からケニア、タンザニア、ウガンダで40万件以上の独立型太陽光発電設備を販売した。ジェシー・ムーア最高経営責任者(CEO)は、この調子でいけば今後5年間で販売総数は400万件に達すると確信している。
エム・コパの基本システムは、出力8ワットの太陽光パネルと6ボルトのリチウムイオン電池、LED電球2個、携帯電話充電器、電気トーチ、ラジオが含まれている。1年間の支払額は217ドルだが、ケニアの平均的な非電化地域の家庭が灯油、電池、携帯の充電、ロウソクの年間支出額と比べると、60ドル高くなるにすぎない。
現在、太陽光発電装置が最も売れている市場は東アフリカだ。携帯決済(エム・ペサなど)の普及率が最も高く、太陽光発電装置の月額費を携帯で決済できることが急速な普及を促す要因だ。世界銀行で東アフリカのオフグリッド専門のコンサルタントを務めるイアン・ムアールは、アフリカの多くの国々で普及が加速しそうだという。この地域ではモバイル決済のエ …
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