「宇宙にはルールなどありません」。MITテクノロジーレビュー主催のEmTech(エムテック)でこう述べたのは、ワンウェブ(OneWeb)を創業したグレッグ・ワイラー会長だ。ワンウェブは2000基の人工衛星を宇宙に打ち上げる方針で、実現すれば現在地球の軌道を回る人工衛星の数をほぼ倍増させることになる。ネットワークへの接続手段がない地域でのインターネット接続を可能にすることが目的だ。無線周波数帯を利用する許可を持っている限り、実際のところ誰も彼を止められない。同じく「スターリンク(Starlink)」によるインターネット・サービスを運営するため、今後数年間で1万2000基もの人工衛星を打ち上げる計画を持つスペースX(SpaceX)を止められる者もいないだろう。
こうしたメガ・コンステレーション(大規模な人工衛星群)の隆盛は、ある懸念を生み出している。ケスラー・シンドローム(Kessler syndrome )という、NASAの科学者の名前にちなんだシナリオで描かれる大惨事に向かっているのではないか?という懸念だ。ケスラー・シンドロームとは、数々の人工衛星の衝突によって発生したデブリ(宇宙ごみ)によって地球の軌道が汚染されてしまう状況だ。デブリは地球の周りを高速移動するあらゆる機器を脅かし、新たな宇宙船にとって宇宙を危険なものにしてしまう。2019年9月に起きたニアミス騒ぎは、このような恐怖を悪化させるものでしかなく、現在十分な規則がないことは、企業による勝手な物体の打ち上げを抑止するものが何もないことを意味している。ここで、ある疑問が生じる。これらの企業は …