米国大統領候補者10人が9月4日のケーブルテレビの番組で、なんと7時間も地球温暖化の危険性とエネルギー政策について話し合った。
CNNで気候変動についての討論会が実施されたという事実自体、米国の世論と政局がいかに大きく早く変化しているかを具体的に示している兆候の1つだといえる。4年前の大統領選挙で、気候変動の話題が取り上げられることはほとんどなかった。 だが今回、民主党の大統領選候補者の周辺からは、従来よりも多額の予算を投じ、迅速なスケジュールで気候変動対策に取り組む計画が競うように発表されている。
確かに、CNNにはいくつかの失態があった。 一部の司会者は、炭素税や連邦政府の研究開発基金の仕組みを理解していないように思えたし、ストローやチーズバーガー、電球などに対する過剰な規制への共和党の主張をそのまま繰り返しているようにも見えた。事実、候補者の1人であるエリザベス・ウォーレン上院議員はそのことである司会者に苦言を呈している。
そうではあったものの、カリフォルニア大学サンタバーバラ校のレイア・ストークス助教授(政治学)は、大統領候補者たちが地球温暖化の高まる危険性と、その対処法としての競合するアイデアについて延々と語るのを数百万人の米国人が聞いたことは「前例のない、驚くべきこと」だったと指摘している。ストークス助教授や他の識者は、若者主導の政治活動グループ「サンライズ・ムーブメント(Sun Rise Movement)」が、その実現に向けたプレッシャーを与えたと考えている。
9月4日夜の討論会のポイントは以下の3つである。
原子力を巡り深まる民主党内の溝
ウォーレン上院議員は、新しい原子力発電所の建設を中止し、最終的には既存の原子力発電所を段階的に廃止するつもりだと発言し、反原子力の立場を強調。一部の人々を驚かせた。
よい考えではない。 原子力は、今日の米国の二酸化炭素を排出しない電力の約半分を供給しており、原子炉を閉鎖すれば、今後数十年における電力部門の脱炭素化という課題は極めて複雑化するだろう。風力や太陽光などの不安定なエネルギー源が原子力や化石燃料に取って代わる場合、供給のピークや谷間の不均衡をならすための安価で長期にわたるエネルギー貯蔵技術が必要になる。そしてMITテクノロジーレビューが何度も指摘するように、そうしたテクノロジ …