次世代のアップル・ウォッチやフィットビット(Fitbit)、アンドロイド・ウェア(Android Wear)のガジェットは単に健康データをスマホに送信するだけでなく、社会全体の健康問題を緩和できるだろう。
「MD2K」は、ビッグデータの手法をモバイル・センサーに応用する、米国政府が資金を提供したプロジェクトだ。ウェアラブル・センサーが収集する健康データを集積し、分析するハードウェアとソフトウェアを開発する目的で、米国国立衛生研究所から1080万ドルの資金が提供された。MD2Kの最終目標は、センサーやデータを利用して依存症の再発といった「有害な健康上の現象」を予測して防ぐことだ。MD2Kは研究者や医師が対象だが、ツールは自由に利用できるため、革新的な手法を消費者向けウェアラブル機器にも転用できる。
市販されているウェアラブル・デバイスでは、製品が収集するのはユーザーの歩数や心拍数といった健康データに限られ、しかもセンサーからの生データではなく、データを解釈した結果としての歩数や心拍数を表示するため、研究には適さない。さらに、そうした製品の電池は丸1日分のデータを頻繁に取得して収集できるほどの容量がなく、収集データの不確実性も定量化できない。
そうした短所を解決するため、MD2K のチームは12大学にまたがり、1回の充電で24時間さまざまな生の信頼できるセンサーデータを収集できるガジェットを開発した。たとえば「モーションセンス」はユーザーの腕の動きをセンサーで読み取り、心拍数の変化を調べるスマート・ウォッチだ。「イージーセンス」は胸の近くに装着する小型のレーダー・センサーで、心臓の活動や肺の液 …