グーグルが発表した調査結果によれば、アイフォーンユーザーに対する史上最大規模の攻撃は少なくとも2年間続き、何千人ものユーザーに影響を与えた可能性があるという。
攻撃に使われたマルウェアは、アイフォーン内をあさり回って、パスワードや暗号化されたメッセージ、位置情報、連絡先、その他の極めて機密性の高い情報を盗んだ可能性がある。盗まれたデータは、ハッカーが攻撃を実行する指令・管理用サーバーに送信されていた。ハッキング活動の範囲、遂行力、持続性が前例のない規模のものであることから、国家支援による作戦だった可能性もあるものの、ハッカーの身元についても標的についても依然として不明なままだ。
「手に入れたデータは『おいしい』データなのです」とジョナサン・レヴィンはいう。レヴィンはアップルのオペレーティングシステム(OS)に関する著書を持つ研究者だ。「キーチェーン、位置情報、チャットや連絡先などからあらゆるパスワードを盗んで、被害者全員の人脈のシャドーネットワークを構築するとしましょう。そうすると、『六次の隔たり(世の中の全ての人や物事は6ステップ以内でつながるとする仮説)』によって、興味深い標的がきっと見つかります。力とならない知識などありません」(レヴィン)。
アップルが2019年2月にバグにすばやくパッチを適用したことから、それ以降にiOSを更新したユーザーはすべて保護されている。マルウェアはアイフォーン再起動すると消去されるが、その時点ですでにデータは盗まれてしまっている。正確な感染者数については不明なままだ。アイフォーンユーザー自身が気づくことはないだろう。マルウェアは目に見える兆候なしにバックグラウンドで実行され、アイフォーン上で実行されているプロセスをユーザーが見ることはできないからだ。
2019年1月、ハッキングされたWebサイトを最初に発見したのは、防諜(対抗的スパイ活動)を専門とするグーグルの「脅威分析グループ(Threat Analysis Group:TAG)」だった。これらのサイトは、週に何千という数の訪問者にマルウェアを送 …