ブラジルのアマゾンで燃え盛る炎によって「アマゾンの枯損」という恐るべきシナリオが再浮上しているとメディアが報じている。
この言葉が示すのは、森林破壊があるレベルに達すると、世界最大の熱帯雨林であるアマゾンが臨界点に達し、連鎖的なフィードバック効果によってその大部分がサバンナに変わってしまうという筋書きだ。温室効果ガスを吸収する巨大なスポンジのような働きをし、植生中に世界の炭素の17%を固定しているアマゾンが、突如として大きな二酸化炭素発生源 となってしまうかもしれないのだ。
アマゾンの枯損が実際に起これば、途方もない大惨事となるかもしれない。だが、これは具体的にどれほどの現実性を伴う危機なのだろうか?
科学者たちは明確な現実性を示せていない。この現象の発生を示すモデルもあるが、そうでないモデルもある。データの中に臨界点(森林減少を引き起こした元になる要因がなくなった後も、ひとりでに森が縮小していくということ)を見出す研究者がいる一方、進行性ではあるが食い止めることができない森林減少は起こらないとする研究者もいる。だがいずれにせよ、こういった現象は熱帯雨林をサバンナ化するというより、季節性森林に変化させる可能性が高いことが、複数の研究で明らかになっている。
このような科学的不確定性に直面した時、一体どのように振る舞えばよいのだろう?気候変動を巡る他の臨界点と同様に、予測がつかないうえに一度そこへ到達してしまうと後戻りができない。私たちは慎重すぎるほど慎重になったほうがいい。
「わずかな可能性であろうと、無視できる余裕はありません」。二酸化炭素削減に取り組む研究グループ「プロジェクト・ドローダウン(Project Drawdown)」の事務局長を務めるジョナサン・フォーリーはそう語る。「森林破壊が臨界点を超えれば、地球全体の炭素循 …