量子もつれを利用するステルス型レーダー、初の実証に成功
オーストリア科学技術研究所の研究者は、マイクロ波光子のもつれを利用することで、低出力で機能する量子レーダーを作成した。ステルス型レーダーや生物医学的な分野での応用が期待できる。 by Emerging Technology from the arXiv2019.09.19
量子革命は、新たな方法で世界を感知する技術をもたらした。一般的なアイデアとしては、量子力学の特性を利用して、従来は実現不可能であった計測をしたり、画像を作り出したりすることが挙げられる。
こういった作業の多くは光子によって実現する。だが、電磁波のスペクトルに関して言えば、量子革命はこれまで少し偏りのあるものだった。量子コンピューティング、量子暗号、量子テレポーテーションなどの開発ではほぼすべて、可視光あるいは近可視光を利用してきた。
現在、オーストリア科学技術研究所のシャビル・バルザンジェらの研究により、それが変わろうとしている。バルザンジェのチームは世界初の量子レーダーを作り出すだめ、マイクロ波のもつれを利用した。彼らが作った装置は、わずか数個の光子を使い、離れた距離から物体を検出できる。これは、検出可能な電磁放射をほとんど出さないステルス型レーダー・システムの実現への展望を示すものだ。
装置は本質的にはシンプルだ。まず、ジョセフソン・パラメトリック増幅器と呼ばれる超伝導装置を利用して、もつれたマイクロ波光子のペアを複数作る。そしてシグナル光子と呼ばれる1つ目の光子を対象に向けて放ち、その反射を確認する。
その間、アイドラー光子と呼ばれる2つ目の光子を用意する。反射した光子が届くとこのアイドラー光子に干渉し、シグナル光子がどれほどの距離 …
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