老化を防ぐ薬として現在有望視されている医薬品の1つは、紆余曲折の歴史を歩んできた。1999年、米国食品医薬局(FDA)によって、ラパマイシンは移植された臓器の拒絶反応を防ぐための免疫抑制剤として認可された。のちに科学者は、ラパマイシンがあらゆる種類の生物学的プロセスに影響を与えることを発見した。「哺乳類ラパマイシン標的タンパク質」(mTOR)は、免疫機能や炎症と関係している。
実験により、酵母、線虫、マウスに対して、ラパマイシンが寿命を伸ばす効果を持つことが分かった。同じ効果を、人間にも期待できるだろうか?
いまのところ、ラパマイシンが人間の老化を遅らせることを確かめるための厳密な実験方法は存在しない。むしろ、研究者は、老化の重要な側面である、免疫機能の低下に注目してきた。そして、ラパマイシンの効果を模倣した医薬品が、高齢者の免疫機能を高めることができるかどうかを明らかにしようとしている。
ジョーン・マニックは、2017年にノバルティス(Novartis)からスピンアウトしたバイオテクノロジー企業「リストアバイオ(resTORbio)」の共同創業者であり最高医務責任者(CMO)だ。リストアバイオが臨床試験を実施しているRTB101は、老化に伴う免疫反応の低下を遅らせる薬の一番の候補となっている。マニックCMOによれば、RTB101のアンチ・エイジング効果についての最初の研究結果は、1年以内に明らかになるという。
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Q:2009年、実験により、ラパマイシン経路を阻害する分子が実験動物の寿命を伸ばすことが分かりました。この研究結果については注目していましたか?
A: はい。2010年のちょうどその頃、私はノバルティスで、新しい適応症を発見するための部門(New I …