2020米大統領選
脱「ペーパーレス」加速も
残るセキュリティ不安
2020年の米大統領選に向けたセキュリティ対策の焦点の1つが、「脱ペーパーレス」だ。投票結果を改ざんできる可能性があるとして、メーカー最大手はペーパーレス投票機の販売を中止。だが、ペーパーレス投票機を使い続ける州も多く残る。 by Patrick Howell O'Neill2019.11.08
明らかに存在するリスクと、専門家らの長年の警告にも関わらず、2020年米大統領選では少なくとも8州、1600万人に及ぶ米国民が全面的にペーパーレス投票機を使用することになる。ニューヨーク大学ブレナン司法センターの報告書が明らかにした事実だ。
サイバーセキュリティと国家安全保障の専門家の間では、次期大統領選の安全を確保するためには、紙による投票と投票監査が必要との強い一致した意見がある。にもかかわらず、実際にはペーパーレス投票機の導入が進んでいる。ブレナン司法センターの報告書は、2016年の大統領選でのロシアの干渉に関する上院情報問題特別調査委員会の調査に言及し、安全保障と検証のために投票用紙を使用することを推奨している。
米国最大の選挙テクノロジー企業であるエレクション・システムズ&ソフトウェア(ES&S:Election Systems&Software)は今年、ペーパーレス投票機の販売を停止すると発表した。同社のカティナ・グレンジャー広報担当は、業界全体がこの動きに追従べきだと語る。
「物理的な紙の記録を使用することで、すべての選挙区で選挙後、統計学的に有効な監査を実施する準備が整います」。グレンジャー広報担当はMITテクノロジーレビューに説明する。「すべての投票に対して紙での記録を要件とすることは、米国の選挙を確実なものにするための貴重な一歩になると確信しています」。
ペンシルバニア大学ウォートン校による2016年の報告書によると、米国最大の選挙テクノロジー企業であるES&Sは、国内の投票者の44%をカバーしている。ドミニオン・ボーティング・システムズ(Dominion Voting Systems)が37%、ハート・インターシビック(Hart InterCivic)が11%をそれぞれカバーしているが、この2社は依然としてペーパーレス投票機を販売している。
米国連邦議会で、選挙セキュリティ分野において指導的立場にあるロン・ワイデン上院議員(民主党)は、セキュリティ対策の中でも特に、連邦政府によって投票用紙の使用を義務付ける法令の制定に根気強く取り組んできた。だが、この法案は多数党院内総務のミッチ・マコーネル上院議員(共和党)によっ …
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