KADOKAWA Technology Review
×
始めるならこの春から!年間サブスク20%オフのお得な【春割】実施中
「家庭でのゲノム編集禁止」
カリフォルニア州で
初のCRISPR法が成立
Photo by Aaron P. Bernstein/Getty Images
生物工学/医療 Insider Online限定
Don’t change your DNA at home, says America’s first CRISPR law

「家庭でのゲノム編集禁止」
カリフォルニア州で
初のCRISPR法が成立

DIY遺伝子編集キットに「自己投与しないように」との警告文の記載を義務づける法律が、来年1月にカリフォルニア州で施行される。当局に対して挑発的な態度をとるバイオハッカーがターゲットとみられるが、現在、法律の規制対象となるようなキットは販売されておらず、今後も販売される見込みはない。 by Antonio Regalado2019.08.14

「自分自身に使用しないように」という警告文を表記しない限り、カリフォルニア州で「遺伝子治療キット」を販売するのは違法になる。

しかし1つ問題がある。そのようなキットが存在するかどうかは不明だ。とにかく、今はまだ存在しない。

この消費者保護規定は、カリフォルニア州知事のギャビン・ニューサムが7月30日に署名した法案に含まれており、来年1月に施行される。遺伝子研究に革命をもたらした万能の遺伝子編集ツール「クリスパー(CRISPR)」を利用する愛好者向けキットが対象となる。

特定のDIYクリスパー商品の販売は、「本キットは自己投与用ではありません」という明確な注意書きを記載しない限り、禁止されることになる。

「これは米国で初めてクリスパーを直接規制する法律です」と、法案を作成した共和党のリン・リン・チャン上院議員は言う。

新しい州法はカリフォルニア州の住人、ジョサイア・ゼイナーに狙いを定めているようだ。ゼイナーがオークランドで経営している会社「オーディン(Odin)」は、遺伝子工学キットをオンラインで一般向けに販売している。2017年には、自身の腕にクリスパーを注射する姿を撮影して物議を醸した。

「明らかに私を標的にしていますね」。歯に衣を着せない発言をするバイオハッカーであり、無資格で医療行為をしたとして現在、カリフォルニア州消費者問題局(California Department of Consumer Affairs)の調査を受けているゼイナーはそう語る。

チャン議員のスタッフに、法案の影響を受ける可能性のある製品例について尋ねると、ゼイナーが販売している159ドルの箱入り商品のアマゾン広告へのリンクを示した。この商品には、「家庭で細菌のゲノムを正確に編集するために必要な物がすべて含まれています」。

しかしながら、このキットは細菌の遺伝子を対象としているため、人間には何ら影響を及ぼさない。したがって、警告ラベルが必要な理由も明確ではない。「スケートボードに『高速道路での使用不可』というステッカーが必要だと言っているようなものです。まったく意味がありません」とゼイナーは言う。

MITテクノロジーレビューは、ゼイナーや他の業者が現在販売している商品の中に、チャン議員の法案が定めた定義に当てはまるものを見つけることはできなかった。

いずれにせよ、DIY遺伝子治療製品の販売はすでに禁 …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中!年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. Promotion MITTR Emerging Technology Nite #32 Plus 中国AIをテーマに、MITTR「生成AI革命4」開催のご案内
  2. AI companions are the final stage of digital addiction, and lawmakers are taking aim SNS超える中毒性、「AIコンパニオン」に安全対策求める声
  3. What is vibe coding, exactly? バイブコーディングとは何か? AIに「委ねる」プログラミング新手法
  4. Tariffs are bad news for batteries トランプ関税で米電池産業に大打撃、主要部品の大半は中国製
▼Promotion
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る