組織労働者の力と訴訟の脅威によって、ユーチューブにユーザーをもっと公正に扱うように迫ることはできるのだろうか? 7月末に欧州最大の労働組合との提携を決めたユーチューバー組合(Youtubers Union)は、そうなることを望んでいる。同組合はユーチューブに対し、運営上の決定の透明化を要求するとともに、同社の現在の運営手法がデータプライバシー保護法に違反していると訴えている。
異例のアプローチだ。ユーチューバー組合の提携相手であるドイツ最大の金属労働組合、IGメタルは強い政治的影響力を持っている。一方で、ユーチューバー組合を創設したヨルグ・スプレイヴによれば、ユーチューバー組合は従来の労働組合というよりもフェイスブック上で組織された「インターネット・ムーヴメント」に近い。 組合員は組合費を支払っていないし、ユーチューブから承認もされていない。ユーチューバー組合の法的申し立ての一部は誇張されているところもある。だがそれでも、「フェアチューブ(FairTube)」と呼ばれるこの新たな協力体制によって多くの公的圧力が生じ、ユーチューブのコンテンツ制作者との付き合い方に変化をもたらすかもしれない。
スリングショット(ゴム銃)を紹介するユーチューブ・チャンネルの制作者で、200万人を超えるチャンネル登録者を抱えるスプレイヴによると、 問題は、彼自身のようにユーチューブを主な収入源としているコンテンツ制作者が多数存在するにもかかわらず、ユーチューブ側は重大な判断を下す際にその点を考慮に入れないことだという。 たとえば、ユーチューブは動画の非収益化や著作権をめぐる争い、コンテンツ警告の扱いに関する規定を変更できるが、制作者たちには何の権限もない。こうした背景を踏まえ、フェアチューブはとりわけ、コンテンツの収益化に関わるすべての決定を透明化することを要求している。さらに、 動画やチャンネルに対する個々の決定についてユーチューブ側が説明し、制作者が決定内容に意義を唱えられるようにしたいとしている。
フェアチューブ …