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デパートよりアマゾン? 年末セールのネット販売が米国で絶好調

米国では、ホリデー・シーズンの買い物に占めるオンライン購入の割合が大きくなっている。大売り出しを控える小売業者は、サイバー・マンデーまで待っていられない。 by Nanette Byrnes2016.11.28

感謝祭(11月の第4木曜日)の翌日にあたるブラック・フライデーは、米国の年末商戦の幕開けだ。何十年にも渡って年末の買い物シーズンの主戦場であり、客を呼び込むため、冷蔵庫やテレビなどの製品が 「超破格の」特売価格で売り出されることで有名だ。その後、全米小売連盟が新たな販売促進策として2005年に考案したのが、サイバー・マンデー(ブラック・フライデーのオンライン版)だ。当初は一年で一番忙しい日とはいかなかったが、特価セールのおかげで今ではオンライン小売業が1年で最大の売上を記録する日になった。

近年、オンライン小売業者はセールを前倒しする傾向がある。ブラック・フライデーとサイバー・マンデーは融合しつつあり、まとめて「ブラック・ノベンバー」と呼ぶ場合もある。

ブラック・ノベンバーが広まるきっかけは、数年前にアマゾンが始めた特別セールだ。感謝際に前だって始まるセールは今年も実施され、アマゾンは、感謝際前週の金曜から、5分間ごとに特売「ブラックフ・ライデー特価セール」を開催中だ。世界最大の小売業ウォルマートも、サムスン製HDスマートテレビの1000ドル引きなどを目玉に、同様のオンライン値引きセールを実施中だ。

与信会社ウォレットハブで小売り販売調査を担当するジル・ゴンザレスによると、今年のブラック・フライデーでは、実店舗での消費者支出は2015年を上回る見込みだが、オンライン小売りの販売額はさらに急速な伸びが予想されるという。「世代的な要因があります。ミレニアル世代(おもに20~30代前半)はブラック・フライデーだから買い物をしに出かけよう、とは考えません。オンラインなら値段を簡単に比較して買えますので、得な買い物ができたと確信できます。消費者の動機付けが強くなるのです」とゴンザレスはいう。

サイバー・マンデーは確かに1年で最大のオンライン・ショッピングの「日」だが、前の「週」はもっと大きな書き入れ時だ。アドビ・デジタル・インサイツは、本日のサイバー・マンデーのオンライン売上額を33億6000万ドルと予想している。だが、感謝際とブラック・フライデーの予想売上高はさらに多く、50億ドル以上だろうとしている。

すべての小売業がこの流行に乗っているわけではない。シアーズ(Sears)やメイシーズ(Macy’s)のような大手百貨店は、セールの目玉の多くを実店舗での販売に限定している。また、化粧品販売のセフォラ(Sephora)のように、サイバー・マンデーに絞ってオンライン・ショップでセールを実施する専門店もある。

米国国勢調査局の統計によれば、Eコマースの売上額は米国の小売り販売額のたった8%程度に過ぎない。しかし年末のホリデーシーズンには、多くのアメリカ人がオンライン・ショッピングを利用する。 フォレスター・リサーチのアナリスト、スーザン・ウーによると、11月、12月にはオンラインの売上が全体の16%を占め、今年の売上額は1120億ドルになると予想されている。

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ナネット バーンズ [Nanette Byrnes]米国版 ビジネス担当上級編集者
ビジネス担当上級編集者として、テクノロジーが産業に与えるインパクトや私たちの働き方に関する記事作りを目指しています。イノベーションがどう育まれ、投資されるか、人々がテクノロジーとどう関わるか、社会的にどんな影響を与えるのか、といった領域にも関心があります。取材と記事の執筆に加えて、有能な部下やフリーライターが書いた記事や、気付きを得られて深く、重要なテーマを扱うデータ重視のコンテンツも編集します。MIT Technology Reviewへの参画し、エマージングテクノロジーの世界に飛び込む以前は、記者編集者としてビジネスウィーク誌やロイター通信、スマートマネーに所属して、役員会議室のもめ事から金融市場の崩壊まで取材していました。よい取材ネタは大歓迎です。nanette.byrnes@technologyreview.comまで知らせてください。
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