気候変動にどう取り組むのか?米大統領候補への7つの質問
持続可能エネルギー

Seven climate questions we’d ask the Democratic presidential candidates tonight 気候変動にどう取り組むのか?米大統領候補への7つの質問

米民主党大統領候補の2時間の討論会で、気候変動の問題はほとんど語られなかった。私たちは改めて7つの質問を候補者に問いたい。 by James Temple2019.08.14

6月26日夜に開かれた討論会では、米国民主党大統領候補のほぼ半数が、気候変動を国家にとって最大級の脅威の1つとして挙げた。にもかかわらず、2時間の討論会の中で気候変動についてはほとんど話題にならなかった

すべての大統領候補は、クリーン・エネルギーへの転換を加速するための施策や、私たちがすでに解き放ってしまったリスクに対して、多くの難しく、詳細な質問に答えなければならない。しかも、手詰まり状態にある政治体制の中でだ。

だから私たちは、大統領候補者に以下の7つの質問を問いたい。

  1. 誰もが風力、太陽光発電を好むが、次世代原子炉や改良した地熱システム、また二酸化炭素回収施設のある化石燃料プラントも必要だろう。これらについても、積極的に推進していくつもりがあるのか?
  2. クリーン・エネルギーへの転換を加速するために炭素税を推進する考えはあるか? もしそうなら、どの程度の税率にすべきか?
  3. 送電網における再生可能エネルギーのシェア増加を可能にする特に安価かつ有効な方法の1つとして、超高圧送電線を増設し、各地域の送電網をより緊密に統合することが考えられる。米国の送電網を近代化するために、どのような具体的手段を取るつもりか?
    (「中国がぶち上げる壮大な「大陸横断」送電網構想、気候対策の切り札になるか」参照)
  4. 国連の気候変動に関する政府間パネル(UN IPCC)の最新の報告書によると、今世紀中の気温の上昇を1.5℃以内に抑えるためには、1兆トンもの二酸化炭素を除去する必要があると結論付けている。二酸化炭素を空気中から吸収する技術的なシステムを進めるために、連邦政府の資金援助を受けた大規模な研究開発と、炭素除去産業の立ち上げを支援するための市場への補助金増加を支持するか?(「人類を救う「炭素回収」技術、挑み続けた開拓者の20年」参照)
  5. 成層圏エアロゾル注入(SAI:Stratospheric Aerosol  Injection)や海洋上の雲の白色化(MCB:Marine Cloud Brightening)などの手段を通じて、政府が「気候における地球工学」の可能性を探る研究に資金提供を開始する時期が来たと考えるか?(「気候変動の最終手段「地球工学」の使用を誰が決断するのか?」参照)
  6. 洪水、干ばつ、ハリケーン、火災といった、より高まるリスクに都市が適応するため、どのような支援をするつもりか?
  7. 気候をめぐるこれまでの政策討論の大部分は、電力や輸送業界の変革に焦点が当てられてきたが、2つの業界を合わせても米国内の温室効果ガス排出量の約57%を占めているに過ぎない。セメント生産、製鋼農業といった「解決の難しい」分野に対処するために何をするつもりか?(「「発電所以外」の温室効果ガス、依然として打つ手なし 」参照)

 

ツイッターでアイデアを求めたところ、エネルギーや環境の専門家が追加の質問を提案してくれた。以下がその一部だ。

バイブラント・クリーン・エネルギー(Vibrant Clean Energy)のジョシュア・ロードス博士

就任後すぐに実行する気候変動に関する政策のトップ3は何か?

―ジョシュア・ロードス(@ joshdr83) 2019年6月27日

ノースカロライナ州立大学のジェレマイア・ジョンソン助教授

ねじれ状態にある議会で、達成できそうな気候政策は?

―ジェレマイア・ジョンソン(@JXJohnson)2019年6月27日

テキサス大学オースティン校広報学部のジョシュ・バスビー助教授

気候問題と、自身が提案するその解決策を、世間一般の人が容易に理解できるように説明できるか? 何がそれほど重要なのか?

―ジョシュ・バスビー(@ busbyj2) 2019年6月27日

マイケル・パワーズ共同創業者(ステラー・ソーラー、Stellar Solar)

「サイバー攻撃から保護し、クリーン・エネルギーを利用して気候変動と闘うために必要な電力の自由貿易を保証し、21世紀の経済をさらに後押しするために、国内の送電システムの再構築を支援する用意はできているか?」

―マイケル・パワーズ(@TerraWatts2010)
2019年6月27日

そのほかにも、ローリング・ストーン誌のジェフ・グッデル寄稿編集者、アトランティック誌のロビンソン・マイヤー専属記者、気候変動に関する記事や番組を支援するボランティア団体「エンドクリメイツサイレンス(EndClimateSilence)」のジュヌビエーブ・ギュンター理事など、気候やエネルギーに関する文筆家や思想家から、一読の価値ある独自の質問が提案された。