多くの人工知能(AI)関連企業は知られたくない秘密を抱えている。アルゴリズムの背後には、せっせと働き、訓練用のデータを生み出している大勢の人々が存在するのだ。
このような被雇用者は時に、配車サービスのリフトやウーバーの運転手のように、ストレスの多い労働環境やその他の劣悪な労働条件の下で働いている。あるいは、賃金の面で最低を競う競争に巻き込まれ、最低入札者が仕事を獲得するようなプラットフォーム上で仕事を求めて競い合う。多くの経済学者が、このような形態の仕事は今後ますます一般的になっていくと予想している。
オンラインで仕事を請け負う「ギグ・エコノミー」について研究していたカリフォルニア大学バークレー校の研究者たちが創業した企業「リードジーニアス(LeadGenius)」は、(ギグ・エコノミーにおける働き手である)ギグ・ワーカーに対する自社の姿勢は他の企業とは一線を画していると主張している。被雇用者のより良い労働条件の整備をはじめとするリードジーニアスのアプローチと哲学は、仕事の未来に関するいくつかの貴重な教訓を与えてくれるかもしれない。
リードジーニアスのプラヤグ・ナルラ創業者兼最高経営責任者(CEO)が、MITテクノロジーレビューのウィル・ナイトAI担当上級編集者のインタビューに応じ、ギグ・ワーカーの生活を改善するための同社の取り組みについて語った。
#
——ギグ・ワーカーが公平な扱いを受けていることをどのように担保していますか。鍵となる原則は何ですか。
公平性を定義するのは困難ですが、私たちには、自分たちが正しい原則だと考えているものを要約した3つの主な原則があります。
1つ目は、「公正な賃金」です。私たちは、事業を展開する地域で少人数の家族を養うのに十分な時間給を保証しています。そうした時間給は、最低賃金の2~3倍になる場合もあります。つまり、同じ仕事をしていても、地域が異なれば賃金が異なる可能性があるということです。
2つ目は、「競争よりも協力」です。アップワーク(UpWork)やファイバー(Fiverr)では、仕事に対する最低報酬金額を提示した人が仕事を獲得します。またウーバーやリフトでは、もっとも迅速に応対した人が仕事を獲得します。この仕組みは基本的に、最低を競う競争を生み出します。私たちは、カリフォルニア大学バークレー校で研究していた頃やその後、人々が一体となって協力すれば、より良い結果が得られることを示す複数の研究論文を発表しました。そして、協力し支え合うことを人々に促すようなテクノロジー、プロセス、文化を構築してきました。
3つ目は「成長の機会」です。ギグ・エコノミーの仕事のほとんどは、プロジェクトベースの仕事に集中しています。こうした仕事では、挑戦して、評価され、認められ、成長したいという人々の本質的なニーズは満たされません。リードジーニアスは、才能のある勤勉な人がコミュニティの中で成長できるようなキャリアパスを構築してきました。マネージャーになることもできますし、福利厚生手当や企業の株式を得るフルタイム社員になることも可能です。当社のフルタイ …