米国は現在、温室効果ガスの排出、エネルギー使用量、大気汚染、そして主要な資源の使用量を削減あるいは軽減しているが、その一方で経済力と人口は増大している。
成長と地球環境悪化のそうした「デカップリング(分離、非連動)」は他の経済大国や、開発途上国にも見られる。マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院の主席研究員であり、経済学者であるアンドリュー・マカフィーは、ほぼ確実に物議を醸すであろう最新の著作の中でそう主張する。マカフィーは、この現象は経済史における重要な転換点を意味しており、地球を衰退させることなく世界の人口増加を維持したいのであれば、必要不可欠の要素であると断言する。
この世界規模の変化を加速するために我々がすべきことは、資本主義システムの抜本的な見直しではなく、むしろ資本主義を強化することである、というのが彼の主張だ。
MITデジタル経済イニシアチブ(Initiative on the Digital Economy)の共同所長であるマカフィーは6月20日、カリフォルニア州サウサリートで開かれたブレイクスルー研究所(Breakthrough Institute)のカンファレンスのプレゼンテーションで持論を展開した。マカフィーの新たな著作である『More from Less』は今年の10月に発行予定だ。
世界中の国々が海洋をプラスチックで満たし、気候変動に関するパリ協定の目標達成を回避し、ますます多くの動物を絶滅に追い込んでいる現状において、マカフィーの主張はピンと来ない。一方で彼は、全てが文句なしの状態だと言っているわけではないとすかさず強調し、気候変動、汚染、貧困、栄養失調は、緊急の行動を要する困難な課題であると述べる。
マカフィーの主張はむしろ、現在進んでいる「デカップリング」は、そうした種々の問題に対処するためのツールを私たちが持っていることを示しているというものだ。
MITテクノロジーレビューは、マカフィーの新著の初期の草稿を入手した。この中で …