人間が指数関数的な成長の影響を予測するのが苦手なことはよく知られている。このことは、次の問題で実証できる。思いも寄らない答えに驚く生徒は少なくないはずだ。
シャーレの中でバクテリアのコロニーが成長しています。そのサイズは1日で2倍に増加します。このシャーレは100日目に満杯になり、個体数の急減を引き起こします。シャーレが半分満たされた状態になるのは何日目ですか?
正解は99日目だ。数学的には明白な問題だが、解答を聞いて驚く人もいるだろう。実際、人間は、指数関数的な変化について直感的に考えるようには進化してこなかったのだ。
このことは、人類が環境とそれが提供する資源をどのように使うべきかを考える上で重要な意義を持つ。この100年間ほどの間に世界の人口は倍増した。世界経済規模は20年ごとに倍増している。
99日目の状況を避ける必要があると警告する人はますます増えている。しかし、人口増加の只中にあったとしても、私たちがそのことを認識できるかどうかはまったく定かでない。
人類にとって考えられる解決策の1つは、太陽系への進出だ。表面が岩石でできた月や火星のような天体は、植民地化の明らかなターゲットとなる。小惑星には貴重な鉱物資源が眠っている可能性がある。実際、一攫千金のチャンスに宇宙資源の採掘業者が群がり、宇宙開発の新時代がすでに活性化している。
しかし、太陽系が広大だとはいえ、資源は限られている。したがって、宇宙資源の開拓をどのように管理すべきかという重大な問題が発生する。特に、太陽系のどの程度を未開のまま残しておくべきかということだ。
この問いの答えを導く研究に、ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのマーティン・エルヴィス博士とキングス・カレッジ・ロンドンのトニー・ミリガン博士が取り組んだ。2人は、指数関数的な成長の本質を研究し、人間はその影響を予測する能力に限界があることを鑑みると、太陽系の開発・利用を制限するときにその点を考慮に入れるべきだと主張する。
2人は研究の結果、人間に利用が許可されるのは太陽系の8分の1で、残りは未開地に指定すべきだと判断した。そして、現在の成長率では、この限度に400年以内に到達する可能性があると警告する。
エルヴィス博士とミリガン博士の論拠はいたってシンプルだ。システムが指数関数的に成長し、その資源の8分の1が使い果たされたとき、資源が枯渇するまでの倍増サイクルは3周期しか残ってい …