「分割・解体論」より現実的なGAFA規制案4つ
「GAFA解体」の声が高まっているものの、過去の歴史を振り返ってみれば実現は困難だ。だが、大手テック企業の独占的な支配力の本質を見極めれば、戦うための方法はほかにもある。 by Angela Chen2019.06.18
米国の規制当局は、アマゾン、アップル、グーグル、フェイスブックのような会社が支配力を持ちすぎているのではないかと真剣に疑っている。巨大テック企業の支配力を抑えるための新しい推進力は人を惹き付ける解決策、企業分割だ。しかし、分割の強制は難しく、反トラスト法(日本の独占禁止法に相当)の長い歴史をみれば、他にも方法があることが示唆されている。
解決策1:巨大テック企業に、小さな企業とデータを共有させる
民主党の大統領候補を争っているエリザベス・ウォーレン上院議員が提案した企業の分割は、巨大テック企業の支配力を削ぐには良いが、ユーザーにとっては悪いニュースだ、とオックスフォード大学インターネット研究所でインターネット統治学教授を務めるビクター・マイヤー=ショーンベルガーは話す。『Reinventing Capitalism in the Age of Big Data(ビッグデータの正体)』(2018年刊、未邦訳)の共著者でもあるマイヤー=ショーンベルガー教授は、グーグル検索(Google Search)やグーグル・マップ(Google Maps)などのサービス間のデータ共有は非常に便利だが、グーグルを分割するとこうしたサービスの信頼性が落ちる可能性がある。
マイヤー=ショーンベルガー教授によれば、本質的な問題は企業の規模ではなく、現在のイノベーションが大量のデータに依存しているため、小さな企業が太刀打ちできないことだ。そこで、中小規模の競合に対する匿名データの提供を大企業に義務付けることを提案している(詳細はインタビューを参照)。 たとえば、ドイツではすでに大手保険会社が一部のデータを小規模の競合企業と共有している。こうすれば、スタートアップ企業にも戦うチャンスが出てくる。
解決策2:巨大テック企業のプラットホームで自社に有利となる差別を禁止する
ジョージ・ワシントン大学公共政策研究所のハル・シンガー上級研究員は、分割が非効率である可能性については同意しているが、マイヤー=ショーンベルガー教授とは異なり、データの不平等については問題視していない。もしグーグル製品の優位性がデータのおかげだった場合はどうなるか? 「グーグルがその優位性で付随的な市場においても勝つなら、それは素晴 …
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