オックスフォード大学インターネット研究所のインターネット統治学教授を務めるビクター・マイヤー=ショーンベルガーは、巨大テック企業を分割すべきではなく、データを共有させるべきだと語る。
マイヤー=ショーンベルガーは規制当局による調査が進む最近の流れを評価しつつ、グーグルのような企業を分割するのは、検索ツールなどの機能を劣化させるうえ、スタートアップがそれらに替わるツールを容易に開発できるようになるわけでもないと考えている。巨大テック企業に対して競合他社よりも自社サービスに都合の良い状況を作り出すのをやめるように求めても、プラットフォーム自体が向上して市場を独占することを止めることはできないという。
『データ資本主義 ビッグデータがもたらす新しい経済(原題:Reinventing Capitalism in the Age of Big Data)』の共著者であるマイヤー=ショーンベルガー教授は、一定以上の規模の企業に対し、プライバシーのために匿名化したうえで、中小企業と一部データを共有することを強制する「進歩的データ共有義務」を適用することを提案している。MITテクノロジーレビューがマイヤー=ショーンベルガー教授に、この大胆な提案と、これによって何が可能になるのかを聞いた。
——巨大テック企業の規制において、データの共有が最も重要だと考えているのはなぜですか?
あらゆる市場において、集中化が起きる傾向にあります。しかし、常に対抗策が存在してきました。それが人間によるイノベーションです。より良いアイデアを持つ小さなスタートアップ企業が登場することで、市場の競争が保たれてきました。
今日のイノベーションは、少なくとも部分的には人間の創意工夫から離れ、データ主導型の機械学習に向かいつつあります。最も多くのデータにアクセスできる者が最もイノベーティブになり、フィードバッ …