KADOKAWA Technology Review
×
【冬割】 年間購読料20%オフキャンペーン実施中!
中国の遺伝子編集ベビーに「短命」の可能性が浮上
AP Photo/Mark Schiefelbein
生物工学/医療 Insider Online限定
China’s CRISPR babies could face earlier death

中国の遺伝子編集ベビーに「短命」の可能性が浮上

中国の研究者が昨年誕生させた「遺伝子編集ベビー」について、新たな研究結果が発表された。ある研究者が「UKバイオバンク」に登録されている人々の遺伝子情報を調べたところ、同様の遺伝子変異を持つ人々が短命であることが分かったという。 by Antonio Regalado2019.06.05

中国の科学者である賀建奎(フー・ジェンクイ)元准教授は、遺伝子を編集した世界初の子どもを昨年誕生させたとき、より良い世の中を作ることを夢見ていた。誕生した双子の女児に施された遺伝子改変はHIV(ヒト免疫不全ウイルス)への感染を防ぐと考え、ヒト胚の編集は多くの人に新たな希望をもたらすだろうとフー元准教授は語った。

ところが、フー元准教授の施した遺伝子改変によって、双子の女児は早世の危険にさらされているかもしれない。

フー元准教授はCCR5と呼ばれる遺伝子を編集したが、最新の論文によると、それに類似した遺伝子の突然変異が人間の寿命を平均して1.9年縮めるというのだ。

「明らかに、重大な影響を持つ突然変異です」と語るのは、カリフォルニア大学バークレー校の集団遺伝学者ラスムス・ニールセン教授だ。ニールセン教授は、英国の巨大遺伝子データベース「UKバイオバンク」に登録されている40万人のボランティアのDNAと死亡記録を調べていて、このことを発見した。「そのような突然変異はめったに起こるものではありません。でなければ、みんな早死にしてしまいますから」。

この発見は、遺伝子を編集して人間の能力を強化させることを狙うすべての人々に対して警鐘を鳴らしている。多くの遺伝子には複数の役割があり、科学者がそれらのバランスをいじり回せば、期せずして望まない副作用を引き起こしてしまう可能性が高い。

今年2月、フー元准教授が編集したCCR5遺伝子の変異が、脳卒中後の記憶回復に関わっていることが明らかになり、脳機能の変化にも役割を持っている可能性が示された。

「中途半端な理解に基づいて生殖細胞系列を改変する …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【冬割】実施中! 年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 無料イベント「U35イノベーターと考える研究者のキャリア戦略」のご案内
  2. The 8 worst technology failures of 2024 MITTRが選ぶ、 2024年に「やらかした」 テクノロジー8選
  3. AI’s search for more energy is growing more urgent 生成AIの隠れた代償、激増するデータセンターの環境負荷
▼Promotion 冬割 年間購読料20%off
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る