「若い血」を輸血すると老人は健康になれるのか? 若者からの輸血で老化を遅らせようとするスタートアップ企業と永遠の命を望む億万長者は、そう願っている。
しかし、この問いを検討するための装置を開発したカリフォルニア大学バークレー校のイリーナ・コンボイ准教授は、老人の体内に有害物質が実際にある可能性を見つけた。
コンボイ准教授が率いる研究チームは、2匹のマウスが常に血液を交換するポンプを開発した。1匹は、人間なら20歳相当の若いマウス、もう1匹は80歳相当のマウスだ。2匹の血液は、24時間かけて完全に混ざりあった。
5日後に観察すると、高齢のマウスは血管内に取り込まれた若い血の恩恵を受けているようで、筋肉修復に改善があった。しかしネイチャー・コミュニケーションズ誌で研究結果を発表したコンボイ准教授によれば、真に特筆すべきは、老いた血が若いマウスに有害なことだ。老いた血によって、若いマウスは脳細胞の形成が妨げられ、金網に逆さまに吊るされた状態での体力テストでも成績が悪かった。「若いマウスは高齢のマウスと同じくらいヨボヨボになってしまったのです」とコンボイ准教授はいう。
この研究を進めると、老人は若い人から輸血してもらう代わりに、老化を促がす蓄積したタン …