血液検査でがん早期発見へ
米ホプキンズ大教授ら新企業
「リキッド・バイオプシー」の先駆者として知られるジョンズ・ホプキンズ大学のバート・フォーゲルシュタイン博士らが実用化へ向けて新たな企業を設立した。がんを早期発見することで、治療を施しやすくするという。 by Antonio Regalado2019.06.04
がん研究者のバート・フォーゲルシュタイン教授は、がんの原因となる遺伝子の突然変異に関する研究で数多くの賞を受賞している。フォーゲルシュタイン教授の願いは、より治療が施しやすい早期のうちに遺伝子の突然変異を検出する方法を見つけることだ。
フォーゲルシュタイン教授の夢を実現させるため、投資家らが1億1000万ドルを投じて、「スライブ・アーリアー・ディテクション(Thrive Earlier Detection)」という名称の会社を設立した。1回の血液採取でさまざまながんを発見できる初の「スクリーニング」検査の開発に向けて、企業が巨額を投じてしのぎを削っている中での参入だ。競合会社のグレイル(Grail)は、10億ドル以上の資金を集めて多用途ながん検査を開発している。
「リキッド・バイオプシー」と呼ばれる血液を用いるスクリーニング検査は、ジョンズ・ホプキンズ大学のフォーゲルシュタイン教授と同大学の研究仲間ケネス・キンズラー教授の初期の研究によるところが大きい。この研究は、腫瘍が、突然変異を起こしたDNAと特殊なタンパク質を血流に放出するという性質を利用している。これらの物質が時々、表立ってはがんの兆候がない人からでも検出されることがあるのだ。
がん専門医のニコラス・パパドポロス博士とともに、ホプキンズ大学の研究者らは昨年、16種の遺伝子と8種のタンパク質を調べる血液検査を開発し、胃がん、卵巣がん、肝臓がんなどの発見に成功した。ただし、発見されたのはすでにがんの診断を受けた患者ばかりだった。現在、研究チームはニューヨークの大手医療研究機関であるガイシンガー(Geisinger)との共同研究の仕上げ段階に入っている。この研究では、65~75歳の健康とみられる女性1万人を対象に、隠れているがんをどれほどの確率で発見できるか …
- 人気の記事ランキング
-
- Who’s to blame for climate change? It’s surprisingly complicated. CO2排出「責任論」、単一指標では語れない複雑な現実
- Exosomes are touted as a trendy cure-all. We don’t know if they work. 「奇跡の薬」エクソソーム、 効果不明も高額治療が横行
- Who’s to blame for climate change? It’s surprisingly complicated. CO2排出「責任論」、単一指標では語れない複雑な現実
- AI can now create a replica of your personality AIとの2時間の会話で「そっくりさん」、スタンフォードら新技術