古代ローマの円形闘技場、なぜ2000年経っても崩壊しないのか?
地震多発地域にある古代ローマの円形闘技場がいまも崩壊せずに残っているのは、ちょっとした謎となっている。地震波を迂回させられる「耐震透明マント」の研究に取り組んできた南フランスのエクス=マルセイユ大学の研究者は、古代の円形闘技場の形状が、耐震透明マントにおける建造物の規則的なパターンと似通っていることに気づいた。 by Emerging Technology from the arXiv2019.05.30
古代ローマの円形闘技場は、人類最古の建造物の1つだ。円形闘技場の建造物は古代ローマ帝国のさまざまな地域で非常によく保存されている。
このことは、ローマ帝国の支配下にあった多くの地域が地震多発地帯であることを考えると、特に注目に値する。ユーラシアプレートとアフリカプレートの境界付近に位置するこの地域はこれまでに多数の地震を経験し、円形闘技場以外の建物は倒壊した。したがって、円形闘技場が2000年もの間残っている理由は、ちょっとした謎だ。
南フランスのエクス=マルセイユ大学のステファン・ブリュレらの研究チームが最近、その謎を解明するかもしれない研究を発表した。同研究チームは、地中に埋められた、または地表に設置された特定の建造物を、どのように配置すれば地震波の伝わり方を変えられるかを研究している。とりわけ、特定の地域を迂回するように地震波を誘導することでその地域を守れる「耐震透明マント」を研究している。
ブリュレらの研究チームは、ローマの円形闘技場はその形状のおかげで耐震透明マントとして機能しているかもしれないという結論を導き出した。それがローマの円形闘技場が驚くほど長い間崩壊せずに存在してきた理由ではないかという。
これまで物理学者の間では、特定の規則的なパターンを持つ物体が波動と相互作用し、波動を誘導することで波動の振る舞いを変えられることは長い間知られていた。この現象の興味深い特徴は、物体自体は波動自体よりもは …
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